あの人に会いに行こう
「あんた、最近出かけて無いけん、明日こそお出かけしたいんよ」と母に言われて、次の日に外出することに決めました。
「お母さん何処に行くか決めて」と言うと
「あんたは何処に行きたい」と聞くので
「お母さんが行きたいところに行くよ」と伝えると
母はニコニコして「アイスキャンデーのかど店に行こや」と答えました。
翌日は、快晴で絶好のお出かけ日和になりました。
母は朝からソワソワしていて、何時間も前から準備をして出発の時間を待っていました。
【久々のお出かけ】
電車に揺られて30分、郊外にあるアイスキャンディの人気店に出かけました。
母は車中で周辺の田園風景や山々の季節の変化を見逃すまいと一生懸命です。
私は、少し距離を置いて、母が自然を楽しむ様子を眺めていました。
【懐かしのアイスキャンディ かど店】
目的の場所は私がテレビ局で制作の仕事をしていた頃に取材でとてもお世話になったお店です。
初めての出会いは40年近く前で、それから何度も取材させていただきました。地元で大人気の昔懐かしいアイスキャンディと言うことで、ほのぼのとしたご夫婦の姿とキャンディ作りを紹介しました。
その時からずっと今まで取材先のお店の方と繋がっているのです。初めて取材させていただいた時のご夫婦は亡くなられて、その後お嫁さんが後を引き継ぎ、今はまたそのお嫁さんが懐かしの味を守っています。
私はアイスキャンディの時期になると、プライベートで母や妹を連れて出掛けるようになり、それからかど店の皆さんとの心の交流が細く長く続いているのです。
お店には何年か前に母が描かせていただいた色紙を飾っていただいていました。
「人情のレトロアイスや伊予訛り」
色紙にはソフトクリームのイラストがあしらってあります。母はその色紙をとても嬉しそうに眺めていました。
【伝統を受け継ぐ】
最近は後を引き継いだお嫁さんの若い感性で、新しい製品など様々な工夫をして、新規のお客さんの心を捉えているようです。
母は大好物のソフトクリームを完食しました。
【人情が心に沁みる】
母はかど店の奥さんと親しく話しながらその暖かい人柄に触れて
「どこに、こんな親切な人が居ますか、こんな心の優しい人はおらん」と涙ぐんでいました。
暫く話した後、かど店の奥さんは私たちを駅まで送ってくださいました。
電車が駅を出て見えなくるまで、奥さんも母もずっと手を振り続けていました。
母は心温まる出会いに大満足でした。
そして我家の冷凍庫には、お土産のアイスキャンディがたっぷり眠っています。母はそのアイスキャンディを食べる度に、かど店の奥さんのやさしさと出会った幸せを噛みしめるはずです。
【毎日がバトル:山田家の女たち】
《優しい顔が上手に描けてよかった》
※93歳のばあばと娘の会話です。
「昨日キャンディを食べたら苺味美味しかったよ、食べる度に思い出すと思う、行ってよかったわい」
「お母さんが描いたヘッダー画面のイラストよう似とるねー」
「奥さんの優しい顔が上手に描けてよかったわい」
母の幸せな記憶はしばらく続きそうです。
最後までお読みいただいてありがとうございました。
たくさんある記事の中から、私たち親子の「やまだのよもだブログ」にたどり着いてご覧いただき心よりお礼申し上げます。
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また明日お会いしましょう。💗