食を満たす親孝行
94歳の母を見ていてつくづく思うことがある。それは高齢者の日常において「食」がいかに大切かと言うことだ。外出の機会が少ない母にとって、「食べる」と言うことが生活の一番の楽しみになっているようだ。
私は食料品の買い出しに出掛ける時に必ず母に聞いている。「お母さん、食べたいものや買ってきて欲しい物ある」と言うと、母は暫く考えて「うーん、わからんわい、あんたが思うものを買うてきてや」と言う。
母はこの上なく食べるものにこだわりがあり、好き嫌いがはっきりしている。しかし突然言われるとすぐには思い浮かばないらしく、買い物から帰ってから「あんた、○○が欲しかったんよ」と言うのが日常だ。
私は日々、母の好みや母の咀嚼の事を考えて食品を購入している。何でもこだわりなく食べてくれれば楽なのだが、母の食べ物へのこだわりは半端ない。
そんな母に、超お気に入りのパンが出来た。先日久々に母を連れてスーパーに出掛けた際に自分で選んだ、よもぎの入った蒸しパンのようなもちもち食感のパンだ。
昨日は「これから買い物に行くけど、要望はある」と母に尋ねると、すぐさま「あんた、あのよもぎが入った蒸しパンがええわい」と言ってきた。
「お母さん、今日行く店には無いかも知れんよ」と言うと「ほーかね・・・」と残念そうな顔をした。
私は買い物に行く道中、店に電話をかけて、その蒸しパンがあるか聞いてみた。店員さんはわざわざ売り場まで行って確認してくれた。「今なら2個だけありますよ」そう言われて、私はすかさず「申し訳ありませんが、置いておいて下さいますか」すると「かしこまりました」と快く引き受けてくれた。
私は有難いと思った。母の喜ぶ顔が目に浮かんだ。
よもぎ入りの蒸しパンを母に見せると「あんた、買うてきてくれたん、ありがとう」と満面の笑顔になった。
高齢者にとって、食は笑顔の素になるんだと改めて思った。大げさだが私はよもぎ入りの蒸しパンで親孝行が出来たと思った。
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