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笑顔の街のパスポート

◇◇ショートショートストーリー

特別な街があります。誰もが笑顔なのです。その街に入ると幸せな笑顔が満ち溢れているのです。道行く老人も、子どもも、若者たちも、出会うとニコニコと挨拶を交わしているのです。

「おはよう」「こんにちは」

「お元気ですか」「今日も頑張って」

「ありがとう」「おかげさまです」

「幸せですね」「良かったですね」

「今日もいいことがありますように」

言葉はすべてがプラス思考です。

誰れでもこの街に入れるわけではありません。「スマイルパスポート」が必要なのです。

パスポートの証明写真は最高の笑顔である事が第一条件です。笑顔で大切な口角の上がり方にもルールがあって、斜め10度以上でなくてはいけません。15度はお手本写真になります。パスポートの写真を撮る段階から笑顔の作り方を学ぶのです。

そして、厳しい条件があります。

1年以内に「人の悪口を言ったことが無い事」これがパスポートを取得する大きな条件です。悪口に関してはとことん調べられます。日常生活でもインターネット上でも人を中傷した人はこの街には入れないのです。その審査はこの上なく厳しいのです。

パスポートには3つのランクがあって、「超はなまるスマイル」「はなまるスマイル」「スマイル」です。そのランクによって街で立ち寄れる場所が違ってきます。

「超はなまるスマイル」の人は、街中どこにでも自由に移動でき、街の木や動物たちとも会話ができるんです。嬉しいのは何処で何を食べても無料です。会話と笑顔のお手本を多くの人に伝える役割を担っているからです。


「超はなまるスマイル」のお嬢さんについて行って見ましょう。

街の公園で休憩しているおばあさんに声を掛けます。

「こんにちは、今日は本当にいいお天気ですねー、お散歩ですか」

「ええ、お散歩がてら買い物に来たんですよ」

「おばあさん、荷物がたくさん、大丈夫ですか、お宅の近くまでお持ちしましょうか」

「ありがとう、じゃあお願いしようかしら」

「もちろん」

二人の会話には笑顔が溢れていました。


おばあさんと別れて、お嬢さんはテイクアウトのカフェに。

行列の中に足の不自由な男性がいました。

「あのー、もしよかったら私が注文して、席まで運びましょうか」

「えー、いいんですか、じゃあカフェオレをお願いします」

「アイスですかホットですか・・・・」

「アイスで、悪いねー、ありがとう」


お嬢さん、今度は街の図書館にやって来ました。かわいい坊やが好きな絵本を取り出しました。

「わー、この絵本私も大好きなのよ、小さい頃にお母さんに読んでもらったわ、読んであげようか」

「うん、読んで、読んで」

お嬢さんは、感情を込めてお話を読みました。

「どうだった、この主人公の気持ちわかった」

「うん、ものすごく良く分かった、おねえちゃんありがとう」

彼女が「超はなまるスマイル」のパスポートを持っているのは彼女が言葉と笑顔の伝道師だからです。


そのパスポートの最後のページにこう書かれていました。
「言葉の力はスゴイのです、人に笑顔を運べます、言葉で笑顔を届けましょう」

「言葉で笑顔を届ける、こんな素敵な街があったらいいなー」そう思いながら、幸子は夢から目覚めました。


【毎日がバトル:山田家の女たち】

《人の悪口言わすにええとこを褒めてあげるんよ》


昼食にお素麺をたっぷり食べた後のはあはと。

「顔で笑って心で泣いてって言う格言があるけど、人はやっぱり笑顔がええ、笑う角には福来る言うよねー」

「街のパスポートをもらえる条件、面白かろ」

人の悪口を言わずに、ええとこを言うてあげるんがええ、10の個性の中で、一つはええとこあろう、それを言うてあげるんよ、聞きよっても嫌じゃないけんねー

「笑顔の街はよかろー」

「ええねー」

私が大切にしているのが「言葉で笑顔を届ける」です。ですので今回はこんなショートショートストーリーを書きました。

【ばあばの俳句】


マスカットたった三粒で笑まい顔


母の好物のブドウの季節がやって来ました。特に好きなのがシャインマスカットです。大粒のうす緑色の宝石のような一粒を愛おしそうに食べています。


食卓にシャインマスカットがあると母はいつもの数倍の笑顔になります。まだハシリですがこれからがまさにシーズン。しばらくは母の笑顔が見られそうです。


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また明日お会いしましょう。💗

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