![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/88981682/rectangle_large_type_2_29c5d796c4ed155bd29c4514a9b64fd5.png?width=1200)
Photo by
658091103
小説は壮大な「ピアノコピー」だった 「容疑者Xの献身」
「私がピアノの前に座るとみんなが笑った。でも、弾き始めると・・・」
伝説的なキャッチコピーをご存じでしょうか。
私にとって、この小説がピアノコピーでした。
彼の才能に気づくまでに何年要したのでしょうか。
本屋の話題本コーナーで、一度手に取ったことを思い出しました。
書き始めから10ページほどが頭に残っていたからです。
「人気1位だって、自分の好みじゃないな」
書き出しの理屈っぽさに、すぐに投げ出しました。
それから15年くらいたったでしょうか。
あるランキングのトップだったので、一度読んだとは知らずに読み始めました。
自分も理屈っぽい人間です。
だからこそ、理屈には正面から向き合えないのです。
「物語は感性だろう」
と自己矛盾を含んだ、妙な認識がありました。
実際に筆を執るようになってみると、理屈と感性の二項対立など、どうでもいいと気づきました。
数学の命題がちりばめられ、哲学を解いていく。
穴のある解答を出し続け、
「やっぱり警察の目はごまかせないな」
と思わせておいて、感情に訴えるラストが見えてくる。
だが、この物語にはピアノコピーが仕組まれていました。
頭で追いかけた理論の筋も、予想していた感情のやりとりも、浅かったと思い知らされるのです。
さすがですね。
いいなと思ったら応援しよう!
![越庭 風姿 【 人は悩む。人は得る。創作で。】](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/125589698/profile_c56d2ed34560fdd2257404aafc9006dc.jpg?width=600&crop=1:1,smart)