秋祭り日和と京都旅「法被姿が行き交う上津屋散策」
大河ドラマ"光る君へ"第40回「君を置きて」観ました。
一条天皇がついに崩御と相成りました。物語の帝といえばこの御方だといっても過言ではありません。視聴者とともに長い時代を渡り歩いてきました。始まりも終わりも外戚の藤原氏に翻弄された一生でした。
なにゆえ女は政に関われぬのだ
敦康親王さまが差し置かれたことを嘆く中宮彰子さま。ただ敦康親王様ご本人が示唆されています通り、天皇になっても幸せが得られるわけではありません。先日、法政大学名誉教授で江戸文化研究者の田中優子氏が高市早苗氏について『安倍さんが女装して現れた。中は男でしょ』と評しました。政治の有力者になるとこのような誹謗中傷を公の場で投げかけられることになります。政治の表舞台に立つことは矢面に立つことと同義です。芸能人以上に多数から呪詛やら怨念やらが飛んできます。なので権力者は強心臓を持っていないと耐えることはできません。
女はこれまで政治に一切関わってこなかったと主張する人がいます。それは大きな勘違いです。一条天皇時代の少し後、鳥羽天皇の二人の后である待賢門院と美福門院の間で大きな後継者争いがありました。徳川幕府のお家騒動もそうです。江戸時代に詳しい方であれば月光院と天英院のお二人をご存知かと思います。我が子を跡継ぎにしたいとする母の強い想い。形は違えど政治の権力闘争は男女関係なく存在するものです。それにしても高市氏に対して人格否定発言をした田中優子氏。毎週欠かさず観ている歴史番組のメイン解説員なので私は頭を抱えました。こういう騒動が起きるたびにテレビのレギュラー出演者は過激な政治発言をしないでおくれよと思ってしまいます。
戦後より政教分離原則を掲げている日本。近年は政治と宗教が再融合しつつあります。オウム真理教がやっていたような歌の選挙活動もその一つの顕れになりますが、過激な政治思想の犯罪が年々増えてきています。狂信者となった彼らは何をしでかすかわかったものではありません。政治テロに巻き込まれたくはない私は敦康親王と同じスタンスです。清少納言よ、熱い気持ちはわかるけれど私のことなどほっといてくれ。敦康親王はきっとこのように思っていることでしょうね。みんながみんな心が強いわけではありません。投票に行かない人が多いのは、政治で人を傷つけたくないし傷つけられたくないという優しい気持ちを持っているからなんじゃないのかなって。大人たちの醜い争いを見て若者たちがそう感じているのではと見ています。私も政治闘争に巻き込まれるのは御免です。
両天秤にかけて天皇ではなく左大臣を選んだ藤原行成
揺れ動く彼の心模様、大変おもしろかったですよね。敦成親王さまを東宮にするために『清和天皇』を例に挙げて一条天皇を説得した行成の言葉に歴史ファンの私は痺れました。清和天皇は重臣・藤原良房の後押しで四男ながら天皇になった日本初の幼帝になります。そして良房は藤原北家の血筋で道長の祖先に当たります。今も昔も国家機関は前例主義にめっぽう弱いので一条天皇は大人しく従うしかありません。
富士山は平野から見る景色は大変美しく、山頂で見る景色はゴツゴツしていてお世辞にもいいとは言えません。何度も申しているように天皇になったからといって最高の幸せが確約されるわけではありません。屈辱のほうが多いことを歴史が示しています。東宮になれなかった敦康親王さまはのちに風雅の道を歩まれました。衣食住に困らなくて大きな責任を負わずに平和に過ごす。そんな人生が一番の理想だと思うんですけどね。
ついにオリジナルキャラクターの素性が明らかになりました
内裏強盗事件のシーンが初登場だったので彼も盗賊の一味では、と勝手に勘違いしていました。正体は平為賢配下の武士だったんですね。為賢といえば刀伊の入寇で大活躍をした猛将になります。武勲を挙げて肥前国(佐賀県と長崎県のほぼ全域)を賜りました。やっぱり刀伊の入寇をガッツリやって賢子と双寿丸の恋模様を描きつつフィナーレとなるのでしょうかね。
さて第41回「揺らぎ」は選挙特番により50分繰り上げ、午後7時10分からの放送になります。間違って『衆院選開票速報2024』を録画しないよう気をつけたいと思います。それでは旅の続きに参ります。
前回から始まった秋の京都旅。
中継地点の「旦所」に到着しました。ここから再び京阪バスに乗り一つ目の目的地へと向かいます。
こちらは八幡市エリアの路線図になります。
京阪バスといっても京阪電車だけでなく近鉄電車の駅も結んでいて八幡市民の足として活躍しています。
バスの本数が大幅に減りこれから向かう場所へは一時間に一本程度しか走っていません。
公共交通機関があるだけマシではあるんですけれども、帰りの時間をしっかりチェックしておかないと下手をすれば一時間待ちを強いられます。これから行くところはマイカーかタクシーが無難ですね。石清水八幡宮駅前でレンタサイクルサービスがありますので好きな方であれば木津川サイクリングもオススメです。
定刻通りに75C系統八幡田辺線「近鉄新田辺行き」がやってまいりました。
石清水八幡宮駅で乗り換える手もあったんですけどね。重複区間を減らして時間に余裕をもたせる方がバス旅らしくていいかなってことで旦所で待つことにしました。
東へ東へ国道1号線を横切って15分ほどで目的地の最寄りとなるバス停留所に到着しました。
どこへ行こうとしているか完全にバレちゃいましたね。二ヶ月前に嵐山の渡月橋を歩いたときに思ったんです。もう一つの有名な京都の橋を見に行こうって。報道映像やドラマでは何度も拝見していますが生で見るのは初めて。とても楽しみです。
こちらは八幡市が事業主体になっているコミュニティバスの停留所になります。資本は地方自治体、運行は京阪バスという形態になっているのでしょうかね。運賃は大人均一200円と京阪バスより30円安くなっています。
路線図を覗いてみるとどうやら京阪バスと競合しない形で調整されていて、京阪橋本駅と繋がってはいるけれど停留所は徒歩500m先とかいい具合に棲み分けされていました。地元の人のためのコミュニティバスです。
トコトコと歩いていると『四季彩館やわた流れ橋交流プラザ』が見えてきました。
地産地消のビュッフェレストラン「八幡家」、農産物直売所、ワークショップといった施設が並び、地元の人たちだけでなく市外からも多くの人が利用している観光施設です。私は早い時間に到着したのでまだオープンしていませんでした。
木が道路一車線分を占有している!?
GPSを頼りに目的地へ向かって歩いていたところ大変珍しい景色に出くわしました。御神木の祟りは昔話が有名ですが、現代だと中央本線・甲斐大和駅から歩いてすぐにある諏訪神社「ホウの木」が時々話題に挙がります。おそらく私の目の前にある木もそれに類するものなのでしょうか。
皆様は城ヶ島の『楫の三郎山神社』をご存知ですか。
土地を購入した業者が山の部分を更地にし鳥居と祠を海に投棄したという噂が広がり地元民が憤慨しているというニュースが数ヶ月前に報道されました。生臭坊主がベンツを乗り回し祇園界隈で遊びまくっているなんてのは遠い昔のこと。今はどこも厳しくて神聖な境内を切り売りしなければやっていけない時代となっています。そんな状況の中で公共の利便性より御神木の保護を選ぶ地域は今では大変珍しいものとなっています。祟りは現代人の我々にとってすごくバカらしく思えるかも知れません。しかし神への畏敬を完全になくしてしまうとこれまで築き上げてきた地域の歴史も消えてなくなります。映画『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『平成狸合戦ぽんぽこ』のテーマがまさにそれでしたね。伝統を守り続けていくために畏怖の念を決して忘れてはいけない。それが今を生きる人の使命だと私は考えます。
これまた珍しい。
私の生まれ育ったところはいわゆる新興住宅地エリアだったので二宮金次郎像はテレビやアニメぐらいでしか見たことがありませんでした。
京都市学校歴史博物館で一度拝見しました。
台座バージョンは初めてです。こんな感じになっているんですね。二宮金次郎への思いは上の記事に書きましたので今回は割愛します。
日露戦役記念碑の右隣に慰霊碑がありました。
おそらく住民の中で亡くなった人がけっこういらっしゃったのでしょう。現在『坂の上の雲』が再放送されています。我が地元の神社にも日露戦争の慰霊碑が建っていました。日本が勝利した戦ではありますが犠牲者の数は相当でした。国家同士が命を奪い合う総力戦の時代でしたからね。
こちらは周辺地域の氏神様を祀る石田神社になります。
例祭の準備で忙しそうだったのでジャマにならないよう境内の撮影は駒札のみに致しました。そして拝殿にてお参りをしました。
京都府内屈指の歴史ある神社です。
教育熱心な地域で境内に算額が掛けられていました。電車内広告で算数の問題が貼られていることありますよね。今で例えるとそんな感じになります。おそらく昔の神社は子どもたちが集う児童預かり所の役割も果たしていたと思われます。十三重石塔といえば石清水八幡宮や意賀美神社でも拝見しました。南北朝時代に流行ったのでしょうか。共通点はどの寺社仏閣も淀川水系近くに鎮座しています。当時の交通手段は船が主流でしたので川付近に情報が伝播したのでしょうね。
あと、大きな特徴として木津川の水害対策のために石垣の上に本殿を建てています。
堤防のすぐ傍にある神社なので貴重な文化財が水で台無しになってはいけません。私がこれから向かいに行く流れ橋は何度も大きな水害に遭い建設以来計21回も流されました。直近だと2023年台風7号の大雨で橋桁が流出しました。翌年5月17日に復旧しています。
以上です。次回は一つ目の目的地である上津屋流れ橋を見に行きます。乞うご期待。
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参考文献
『名前でよむ天皇の歴史』朝日新書
遠山美都男
追記
『テレビドラマ感想文』応募作品の中で、スキの週間一位を獲得しました。皆様ありがとうございます。感謝!!