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【映画】自分がいない世界をモノとしてみる「日常」|とりつくしま

前振り

先日、久々に映画館で映画を観ました。

その時の戦利品はこちらですが↓

観たのはこちら↓

今回は、山田(仮名)の中にとっても無謀な挑戦でもある映画を騙る語るということで、「とりつくしま」を記事にしてみました。

前提条件

映画「とりつくしま」は、東直子小説「とりつくしま」(筑摩書房)を原作に、娘の東かほりが監督・脚本を手がけた作品とのこと。

山田(仮名)の知識レベルでは、当然ながら原作も知らない、監督も知らないという、真っさらな状態で映画を観ています。

ちなみに、公式さんによると、こんなお話しだとのことです↓

人生が終わってしまった人々の前に現れる”とりつくしま係”は、「この世に未練はありませんか。あるなら、なにかモノになって戻ることができますよ」 と告げる。夫のお気に入りのマグカップになることにした妻、だいすきな青 いジャングルジムになった男の子、孫にあげたカメラになった祖母、ピッチャーの息子を見守るため、野球の試合で使うロージンになった母。

人生のほんとうの最後に、モノとなって大切な人の側で過ごす時間。

映画「とりつくしま」公式サイトより(http://toritsukushima.com


んじゃ、なんで観に行ったのか?

あんまり言うと身バレしそうなんですが。

若かりしに共に学んだっぽいおもひで…を観たくなったということにしておきます。 

ちなみに、原作は全く読んでいませんので、どんな話が気になる方は、朋美様の記事をご覧いただければと思います↓

筑摩書房もYouTubeで宣伝していたりします↓

役割

まず、この映画で死を考えたときに、私の中でふと浮かんだのは、立川談志と上岡龍太郎の対談の場面↓

死ぬ前に未練が残る

これを解決するために"とりつくしま係"が登場するのかなと、とらえました。

死は誰にでも訪れるけれども、今死んだらどうしたいか? という願いを条件付きで叶えてくれる…という着眼点からストーリーが始まるのは、掴みとしては面白いなと思いました。

日常と非日常

この映画は、

トリケラトプス
あおいの
レンズ
ロージン

の4話のオムニバスです。

話の流れとしては、トリケラトプスで、作品の世界観を引きつけてから3作という感じでしょうか。

"とりつくしま係"と話すシーン以外は、ただただ、毎日の暮らしであり、生きている者たちの息づかいであり、季節の移り変わりです。

現実世界と違うとすれば、そこには死者はおらず、モノ視点から観ることでしょうか。

ただ、本作品では、死も含めた日常を嘘くさくなく表現するのは、結構難しいと私は考えます。

ニュースの該当インタビューでもヤラセが普通に行われる中で、"日常"を違和感なく演技するのはかなりの技量が必要でしょう。

そんな中での23名の俳優たちが生み出す"日常"だからこそ、そのシーンに、その振る舞いに、観る人の感情が重なってくるんだろうと感じました。

加えて、ストーリーテラーである"とりつくしま係"小泉今日子が、いい意味でも、悪い意味でも世間から見るとキャラが立ち過ぎているが故に、23名の俳優たちが演じる“日常“が、より際立っているように見えました。

エンディング

最後に流れてくるのは、インナージャーニー陽だまりの夢

とりつくしまは、時間の進み方が忙しくないです。

そんなにゆっくりという訳ではないんですが、4作の主人公=モノになった主人公が相手を見守る時間軸で進んでいきます。

本作での時間の流れ…と呼応するのが、陽だまりの夢であり、話を総括する感じでエンディングに使われている曲です。

MVを観ても、とりつくしまが描こうとしている(と私が勝手に考えている)時間軸に非常にマッチしており、この映画を深く味わう好材料だと考えます。

優しさ

4作とも、"日常"が織りなす話が観る人の心を暖かくしてくれる、と同時に死が持つネガティブな側面が全く出てきません。

トリケラトプスだと、ツッコミを入れるこはるがいることで、りおとの話がより真剣味を増したり。

あおいののような話で、"死"が全面に出てくると辛くなりがちな中、わずかに登場するママを描くも、あとは成長していく人たちを見つめていくことで、悲哀だけではない死を感じることができますし。

レンズでは、被写体が自分から他者に変わるがごとく、見守る対象が秋彦に変わるも、慈しみの気持ちは絶えず。

ロージンでは、空に儚く散っていく中で、未練をなくそうとする母・を感じたりと。

"日常"の中にある暖かな感情をゆっくりと、ジワジワと、陽だまりにいるかのごとく、味わえる映像作品だと思いました。

財布は寒く

実際に観に行った映画館はこんな感じでしたが↓

私も、ここの前の道路はよく通るんですけど、目に入ったことがないですね。

慣れない映画館だったんで、気合いを入れてポップコーンMやら、ドリンクMを買って、実際に映画を観ていたら、食べきれず・飲みきれずで、財布には優しくないことをしました。

それはともかく。

たまに観る映画というものいいですね。

スマホの高解像度の画面で観るお手軽さもありますが、スクリーンで落ち着いて楽しむのも一興だと感じました。

(了)

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山田太朗(仮名)
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