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ことばと生き方──ことばに対するこだわり

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若い頃から「ことば」というものに興味があり、2001年から2018年まで“ことばのWeb”を主宰していた流れで書いた文章を集めています。
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2022年3月の記事一覧

外来語のカタカナ表記を考える

先日、ウチの番組を見ていたらテロップに「シラップ」と書いてあって驚きました。 「シロップ」じゃないのでしょうか? 少なくとも僕らは子供の頃からシロップと言い習わし、聞き慣れてきました。 誰かが「英語の発音はシロップではなくてシラップだよ」などと言い始めたのでしょうか? 確かに綴りは syrup なので、シロップよりはシラップのほうが近いのかもしれません。 そういうことは時々起きます。 例えばアメリカ合衆国第40代大統領のロナルド・レーガン(Ronald Reagan)

すべからく誤りを正すべし

言葉には音があります。日本人はあまり意識していないかもしれませんが、その音の響きから私たちはたくさんの印象を受け取っています。 英語では例えばDの音を重ねると不吉な重苦しい雰囲気が出るとされています。英詩ではそういうテクニックがよく使われます。 これは日本語でも同じではないでしょうか? ダ行の音は暗く重く激しい感じがします。 同じくサ行ならサラサラした感じ、ナ行やマ行なら柔らかい感じ、ハ行は薄いものがはためく感じ、ラ行は響いたり弾んだりする感じ、ガ行やダ行なら何かがぶつ

熊から猫まで

人の名前や職業の後に付ける「公」って、何なんでしょうね? 江戸落語には熊さんとか八っつぁんとかいう人たちがよく出てきます。時に彼らは落語の中で熊公とか八公とか言われたりもします。「やい、熊公」なんてね。そう言えば、渋谷には忠犬ハチ公がいます。 この「公」って何なんだろうとふと気になりました。 「公家」の「公」ですかね、あるいは「公爵」の「公」? ちなみに公爵は爵位の最上位です。いずれにしても、元々は偉い人につける敬称であったようです。 たとえば、「伊藤博文公」などと。