貝
わたしは、りぼんをはずす、
海底で詩をほどく、
からだを貝がらに合わせて
かたむける、
わたしは、貝がらにはいる、
お気に入りの本をひらく、
ここはわたしだけしかいない
ここはわたしすらいない
詩に透かした自己は薄くひろげた湯葉、
貝のうらがわに張りついた
フィルターのように わたしを守る
ほどけた詩はどこに行ったのか
わたしの手もとには
なにも残さなかった
わたしの成分が詩とともに、海に流れ、
夢中を、とじこめている
一辺のほどけた糸は、
わたしを破滅主義にさせる
打算が君のいのちをむしばんでいく
君の世界には、人間しか住んでいないの?
さびしいね
わたしは貝がらの中にとじこもる