終わらせる為と創り上げる為の違い / 木工業の未来
1つ前の記事で「東方MMD制作者に教えられた事」に「生業」「本業」と言う言葉を使いました。
改めて纏めると。「仕事」(生業)は目標に従い「終わらせる為」に作る、単純に言えば金を貰う為、上から下へ収束して行くと言い換えても良いと思います。
「創り上げる為に作る事」(本業)は、「場」を自分達で支え、「場」が自分達を支える事だと書きました。
自分達が下から上へ積み上げて行く事で結果として、「場」を支える、支えられる力が立体的に上下左右に作用すると言えると思います。
組織に権力勾配は必要、当然です。でも下から上や横への力が働き辛い職種は、縮む力のみが加速度的に大きくなり、最後は萎みきって終わりを迎える。
自分の居る地域の木工業は、このまま行くと消滅すると思っています、他の地域ではどうなのか分かりません。でも情報も無く誰も知りませんし、考えてすら無いのが現状です。(自分は家具製作業です)
同じ仕事を同業他社で奪い有ってカツカツで回す内に、条件は悪化して誰も就業しなく成りつつあります。知り合いの家具工場は募集しても誰も来ないらしい、よく聞く話しです。
弟は会社(親戚の建築会社)に期待されて居たけど、先輩大工の条件が後退し続け、後輩が辞めて行く事に歯止めが掛からない事と。結果として上から下に圧を掛ける事以外の手段が無ければ、終いには自分にその役目が回って来ます、回りつつ有ったのでそれが嫌で結局辞めました。全く別の職種に。
こう言う話しをすると、単純に自分の給料の話しとしてしか取らない人達は、自分の子供達がどう成ってしまうのか?不安にならないのか不思議です。
幸い?自分は妻子無く、知り合いも極小数なのでそこを気にしなくて良いのですが、、、それとも自分達の子供は、都合良くその席に座らず免れる自信があるのでしょうか。
建具や家具は全てオーダーを辞めて、大規模工場の既製品に置き換えれば暫くはやり過ごせる。(正直自分で作っていながら、オーダー家具建具は必要無いと思う)
ただ、今の所大工はそうは行かない、3Dプリンタや全く別の工法で「本当」の意味で簡単に作れるなら、大工の必要性は急速に下がる。
でも今の所目処は立って無いので、地域によっては大金を払わなければ後回しにされ、何年も待つ時代が来るか、アパート以外住む所が無くなるか、アパートも作れなく成るかも知れない。
大手メーカーやデザイン設計事務所は、地域の建築会社で育った大工を少し良い条件で雇って、育てるコストを払っていない。
会社から上手な大工が抜けていけば、地域の建築会社は大変になる。その結果より厳しく管理するので悪循環に陥っている。
職人達も経営者達も、それを自然災害の様に思っているから、ズルズルと後退し続けている。
貧乏暇無しとは良く言ったものだと思う、考える余裕すら与えられず、それが常態化して居る。こう言う事を話せる歴史や政治に詳しい先輩は、悩んで鬱的になり会社を辞めてしまった。
10年程前から材料が高騰し始めたので、その先輩にこのまま行くと、いずれ輸入出来ない時期が来ますねと話し合っていた。その先輩も、「そうだね、いずれそうなってしまうね」と言っていたので、当然皆そう考えていると思い。
他の同僚2人に「組合の様なモノが無いと、上手く行かなく成る時期が来てしまう」と消極的な言い方をした。
(自分だってどうしたら良いか分から無いし、組合なんて作り方も分からない、それに時代環境に合わせた形が必要だと思う)
2人は途端に別人に成って、「中国か朝鮮か」「共産主義か」「反日」等々、唐突に集中砲火を浴びせて来た。それでもそれ以外無いと思うと返したが本当に驚いた。
最近分かったのは、全く同じ事を言われている人達が結構いる。組合=共産主義だと何かから、学んでいる様だ。
TVでもラジオでもネットでも、ストや集団労使交渉の話しは必ずと言って良い程に、迂回し避けて話されている。
先輩は10歳程上(現在50代)だったので、他に個人で木工業をしている、先輩と同世代2人にそれぞれ話して見た。
結果は先輩含め3人ともほぼ同意見だった、上記の話しを伝えたら「何でそれが共産主義なの?」と驚き呆れていた、当然だと思う。
「でもそれを中々実現出来無いんだよねぇ」と控えめで真っ当な意見に、広がりを感じたのを覚えている。
此処まで書いて、何の結論も無く話しを終わろうと思います。
敢えて答えを出すなら、どうしても「木工職人」に成りたい人には、特別な金持ちの為の仕事=組子職人か木材のみで作る無垢材の家具職人や社寺建築を薦めます。
(でも単に金を持ってるだけの人に作るのは嫌です。まぁ、自分はそこ迄上手では無いので心配無用ですが)
見ざる、聞かざる、言わざる、従って来た結果が現状です。若い人達には申し訳ないとは思います、「老害」と言われてもしょうがない、確かにしょうがない。
纏まり無く、何もして無く、言い訳がましい文章を最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。