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「好きな」と言うと語弊がある好きな死に様 3選 / 攻殻機動隊の清掃員

死に様と言ったら誰のどんな死に様を思い浮かべますか?ラオウ?弁慶?典韋?調べたらどれも入っていませんでした、テキトーに上げたら3人共立ち往生のイメージですね。

自分の場合は少し違う人達が浮かびます、変わり者アピールではありません、これから挙げる順番は順位では無く、自分が若い時から覚えた順番で後になる程最近です。


1人目は「袁術」

この人は三国志に登場し、史実でも漫画でも大抵は酷い人間として有名です。家は超絶名家の出身でなんやかんや有って、皇帝を僭称し一時は権力を握るも、その後はひたすら没落します。
死ぬ時のセリフが有名で「蜂蜜がなめたい」が非常に印象に残ってます。(実際には蜂蜜入りの飲み物らしいです)最後は付き人は極少数になり、大量の血を吐いて死んだそうです。
三国志グッズ店に「袁術がなめたい蜂蜜」と言う物が有り、三国志好きにはたまらない商品が有ります。


2人目は「清掃局員の男」(死んで無い)

劇場版GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊のキャラクターです、細かい説明は省きますが劇場版は全く救いの無い人なので、既に死んでいるかの様なイメージが有ります。
この映画の中で最も印象に残った人で、会社で他の人が子供のイベント等で、早退した時など冗談で、「自分も帰っていいかな?天使の様に笑う娘と、女神の様な妻が誕生祝いで待ってるからさ」と言って、冷たくあしらわれています。
 ※1  最下部にセリフコピーと解説置きます


3人目は「胡亥」

この人は始皇帝の跡継ぎ二代目皇帝、Wikiを読めば分かるけど本当にどうしようも無い人、「馬鹿」の語源とも言われている。
中国ドラマ『項羽と劉邦 King's War』(原題:楚漢伝奇)に出てくる方は比較的まろやかな描かれ方、それでも相当酷い事をする人、それ以上に趙高が大魔王の様に目立って後半は可哀想に思えてしまう。
最後に殺される時は(皇帝→王→侯→平民になるから助けてくれと命乞いするも殺される)このドラマにはもう一段有って、「まて、辞世の句を詠ませてくれ」と言って暫くしても詠めない自分が情け無く、涙と鼻水だらけて自分は何をして来たんだと、悔いながら死にます。

自分はいつの頃からか人が死ぬ時は、こう言うものなんだと言うイメージを持っています。勿論本当は死ぬ時に辞世の句を詠めればなぁと、憧れは有りますが自分には無理だろうなぁとも思います。
この人達を浮かべると、こうは成りたくない、でも人は遥か昔から無情(情け容赦無く)で無常に(常で無い=ランダム)死んで来たんだと、「引き締まる感覚」と「嫌、人為では絶対にどうしようも無いのだと、諦め緩む感覚」が起きます。

古代中国の戦国ドラマを何本か観て思うのは、こう言った世界観が通底している様に思います自分だけかな?優秀で徳の有る人でもあっさり死んだり、趙高の様に中々死ななかったりします、観ていて本当に嫌に成ってしまいます。
 ※ 2 この文の説明も最下部に置きます。

でも死ぬ時に子や孫に囲まれて穏やかに死んで、葬式で人の価値が分かる、見たいな日本の価値観を目指すのは、それはそれで窮屈です。勿論そう成れるならそれに越した事はないのですが。
タイプによっては「成りたい」が丁度良い人、「成りたく無い」が向いている人それぞれなので、自分の場合は上記の様な、「そう成りたく無い、でもそう言うモノなんだ」と思わせる人達3選でした。

書きながら思ったのは、死ぬ時には「蜂蜜が舐めたい」と言って笑いを取れるのが、自分にとっては理想的な感じがします。でも絶対に絶対無理だろうな。


趙高の死に様 (ドラマ内のセリフです、中国原文と翻訳ではどの程度違うのだろうか?)

趙高
「お前達のこの滑稽な国は、この人でもない幽霊でもない、宦官に破壊されたのだ国が滅びるのを待っておれ ハッハッハハハー」
死を前に意地を張ったのだろうけど、このセリフに当時は大魔王かよと思いました。


※1 攻殻機動隊 劇場版セリフコピー
清掃局員「……擬似体験って、どういうことです?」

トグサ「だから、奥さんも娘も離婚も浮気も全部偽物の記憶で夢のようなものなんです。あなたは何者かに利用されて、政府関係者にゴーストハックを仕掛けてたんですよ。」

清掃局員「そんな、まさか?」

イシカワ「あんたのアパートに行ってきた。誰もいやしない。独(ひと)りもんの部屋だ」

清掃局員「だから、あの部屋は別居の為に借りたアパートで……」

イシカワ「あんたあの部屋でもう10年も暮らしてるんだ。奥さんも子供もいやしない、あんたの頭の中だけに存在する家族なんだ」

トグサ「ごらんなさい。あなたが同僚に見せようとした写真だ。誰が写ってます?」

清掃局員「確かに写ってたんだ……俺の娘……まるで天使みたいに笑って……」

トグサ「その娘さんの名前は?奥さんとはいつ何処で知り合い何年前に結婚しました?そこに写ってるのは、誰と誰です?」

清掃局員「そのウソ夢、どうやったら消せるんです……?」

トグサ「残念ながら現在の技術では、成功が2例報告されているだけでとてもお薦めできません。お気の毒です」
     ここまでがセリフコピーです。

自分はてっきり皆知っていると思い、「清掃員かよ」とか「攻殻かよ」とか言って貰えると思ったのですが淡白な反応。攻殻を知っているか聞いた所、7人全て知りませんでした。

理想の反応は、自分には妻子が居ない事が分かった上で、言っているのだから逆に

同僚「お前また攻殻かよ、そんなふざけて無いで家族サービスしたら?」
自分「は!?いや、居な、、?」
同僚「いやもういいから、あんなに良い子と奥さん居ないぞ」

なんて言われたらザワッと来るんだけどね、と弟に言ったらそれは絶対無理、分かる訳無いと言われました。自分も出来る訳無い。
それは当然そう思うけど、攻殻の話しを聞いてゾッとするのは、本当は妻子の居る筈の同僚なんだよと、説明すると成程と納得していました。

※ 2 勘違いして欲しくないのは、だから何もしなくて良いと思っている訳ではありません。戦国乱世に生まれた思想の殆どは、ランダムに見える中に法則性を見い出し、そこから少しでも秩序を実現しようとする営みだと思います。
それを実現しよとしても中々そうはなら無いと言う意味で、全く無秩序なら問題だらけになるか、全てを受け入れて原始的生活をするかに成ると思っています。
昔は原始的生活に人は戻れるならその方が良い、と思って来ましたが、40を過ぎた頃に漸く人類は余程の事が無い限り、後戻り出来ないのだと考える様に成りました。

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