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殺人ロボット(7)

7

最初に口を開いたのは、大塚愛子の友達であった。
座っている私を見下ろすかの様に
「何のご用件でしょうか?」
と、訝しみながら聞いてきた。

私は立ち上がり、懐かしい大塚愛子の顔を見た。
以前と全く変わらない、愛らしく可愛い娘
まんまる顔の童顔の女の子。
純情可憐な、薄化粧の女の娘。

隣の女は化粧が濃い。
(「ほっといて!」とツッコミ入るかも)

「あの〜大塚愛子さん、石田太郎をご存知ですか?」
と、愛子の顔を見た。

大塚愛子は不思議そうに、私を見る。

……この人、私と初めて会う人なのに、
何故、私が大塚愛子と解るのだろう?…

「石田太郎さん、知っているよ。
居なくなった人でしょう。それが何!」
と、化粧の濃い女が上目線で言う。

一体、この女、誰なんだ?
大塚愛子のボディーガードか?
この鬱陶しさは何だ!
瞬間殺意が芽生えた。

「私はこちらの女性に聞いているのだ。
君に聞いていない」
と、低い声で脅す様に言った。
その言葉に怯んだのか、濃い化粧の女は後ずさる。

「石田太郎さんですか・・・・。貴方は石田さんのお友達ですか?」
と、怯えているのだろうか?声が弱い。

「私は、石田太郎とは親戚関係にある者です。最近、太郎君と
連絡が取れないので、この会社に来たのですが、
太郎君の事ご存知無いでしょうか?」
と、さっきの女とは違い、穏やかな口調で話した。

「石田さんですか、・・・。
突然会社から居なくなったの。私も心配で・・・」
と、先程の上司の伊東とは違い、大塚愛子さんには心が籠っている。

…本当に心配してくれてるのか?…  と、嬉しく感じた。

「今日は、太郎君に会いに来ただけでは無く、
貴女に伝言を言いに来ました。」
と、私は率直に言った。

「伝言って!? 石田さんに何かあったのですか?」
と、心配そうな顔で、質問される。

「太郎君には何も起こっては無いです。
ただ伝言を伝える為に来ました」
と、お茶を濁すかの様に云うが、

「石田さんに何も無いのであれば、何故石田さんが直接来ないの?」
と、疑いの眼で愛子は、僕を見る。
さらに、愛子は云う
「貴方は先程、『石田さんとは連絡が取れていない』と、
おっしゃっていたのですが、石田さんが無事だと何故解るのですか?」

私は言葉に詰まったが、即座に言った。

「太郎君が無事だと云うのは、私の願望です。
万が一、太郎君の身に何かが起こっていたなら
と、思い此処に来ました。
以前太郎君から聞いていた事を貴方に伝える為に。
手紙もあります。」
と、私は昨日書いた、大塚愛子宛の手紙を
鞄の中から出した。

「と、言う事は石田さんの安否は確認されてはいないのでね。」
と、悲しげ、残念そうに
独り言みたいに呟いた。

「此処では、何ですから場所を変えません?」
と、私は提案した。



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