振り返ると幽霊が居た(2)(450字の小説)
振り返ると幽霊が居た
暗い道の真ん中に髪を振り乱し
醜い形相で私を睨んでくる。
私は女。それもとても美人な女。
醜い顔の幽霊に睨まれ、私は恐怖の
底に堕ちていく。
悦にいる幽霊。醜い顔に笑みが漏れる。
「やはり、脅すのなら女に限るわ。
この前の男は、私を見ても全然怖がら無いのよ。
馬鹿にしてると思わない?」
と、馴れ馴れしく話しかけてくる幽霊。
「こここ、怖いです。」
と、私の声は詰まってしまう。
「そうだわ。それが普通ですよ。
これくらい怖がってもらわないと、
私の上司に怒られてしまうの。
この前の男、全然怖がらないから、
私の給料が減額されたのよ!どう思う?」
と、訳の分からない事を言い出す幽霊。
「怖がってくれたお礼に、私の顔をプレゼントするわ。
顔を入れ替えしますね」
と、美人になる幽霊。
その後美人の幽霊は、怖がられる事も無く、
給料は減額され、最後には失業者となった。
可哀想な幽霊。
だが、世間では大人気。
綺麗な幽霊にナンパされたと言う評判で持ちきり。
男を幸せな気持ちにさせ男を喜ばす幽霊
それは誰?
その名は、貞子では無く皿子。