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魔法の鏡(副題 私の夢)(五分で読める小説)#ボケ学会➕追伸

ユニシロの女店員、松原チエコ。
彼女はどんな時も、全く表情を変えない。
顔立ちは美人の部類だが、笑う事も
悲しみの表情さえも表さない不気味な女。
付いたあだ名が鉄仮面。

その鉄仮面女のプロフィール。
年齢は20代後半。
身長は160cmぐらい。
体重は秘密だが太っても痩せてもいない。
顔は、芸能人で例えるならば、
エラの取れた小雪に似ている。
目は一重で、鼻筋が通っていて、
口は少し大きめ。

恋人は居ない。
(噂では、ユニシロの店主が恋人?と思われている)
独身女。一人暮らし?
女友達がいるのかは不明。
特技は読心術。霊感が強い。
人の心を見抜ける。
(時々間違いもあるがかなり正確に見抜く)
高学歴。(最終学歴は大卒)
性格は真面目だが、
騙すよりも騙せれる方が悪いと想っている
利己主義。
そんな女の物語が今始まる。

いつもの様に松原チエコは、
ユニシロに出勤していた。
ユニシロは9:00から21:00までの営業だが、
彼女は開店30分前には店に現れている。
ユニシロの従業員は彼女を含めて三人だが、
彼女以外はパートのおばさんだ。
あとは店主一人。
店の大きさはさほど大きくは無く
10〜15坪程度の広さ。
商品は洋服から、宝石、時計、壺、掛け軸など
何でもありのお店。
いわゆる雑貨店だ。

彼女は、昨日仕入れてきた珍しい物を
店主に見せ何か話をしている。
店主は店で暮らす独身男。

「店主さん。
私は昨日、不思議な物をある人から購入したのです。
これです。」
と、チエコは店主に手鏡を差し出してきた。
何処にでもある、手鏡だ。

「この手鏡は、その人が言うには、
『自分の恋する人を映し出す鏡』と言うのですが・・・。
私には、恋する人がいません。
この手鏡が本物かどうか判らないのです。
店主さんなら、恋する人がいるかと想い
持ってきました。」
と、彼女にしては、珍しく興奮気味に話してくる。

店主は手鏡を持ち、覗いてみるが映るのは
自分の顔だ。
「見たところ、僕の顔しか映らないのだが・・・」

「私、その人に騙されたのでしょうか?」
と、悲しげに言うが、表情は変わってはいない。

「騙された!君が?心を読むことができる君なのに・・・」
と、驚きの声。
「騙されたら、騙し返す。倍返しだ!で、幾らでこれを買ったのだ?」
「値段ですか・・・・買った金額は一万円です」
と、耳打ちするチエコ。
「そうか、かなりの支払いをしたんだな。
しかし損は出来ない。
これを客に売ろう。馬鹿は何処にでもいる。」
と、奇声を上げる店主。

彼の脳裏には、ある男の顔が浮かんでいた。

その日の午後、女子高校生がユニシロに訪れている。
何を探しているのか判らないが、
一人で店の商品を見ながら、ぶらついている。

いつもの様に店主は揉みてをしながら、
客の女子校生に近づき
「何をお探しですか?・・・」
と愛想良く挨拶をして、彼女の顔色を伺う。
女子高校生は、小柄な女性で可愛い丸顔の女の子。
「私、初めて来たのですが、どの様な物があるか・・・・・」
と、遠慮気味に言葉を濁す。
「私どものお店は、いろいろな物がありまして、
不思議な物もあります。
これなど、どうでしょうか?」
と、今日仕入れたばかりの手鏡を彼女に見せる。
「これは不思議な手鏡で、じっと強く念じ見つめていると、
貴女の意中の人の姿が見える魔法の手鏡なのです。
昨日来た女性も買って帰えられました。
喜んでいらっしゃいました。」
と、口から出まかせを平然と言う。
「好きな人が見えるのですか?本当に・・・」
と、目を輝かしながら言う女子高校生。

「見えますよ、ただし条件があるのです。
素直な気持ちで純粋に無心で想いを込めて
真剣にこの手鏡を見つめるのです。
そうすれば、貴女の意中の人の姿が見えてきますよ。」
と、熱弁する店主。
狙った獲物は逃さないとの想いからなのだろう。

「そうですか、これおいくらでしょうか?」
と、素直に店主の事を信じてしまう女子高校生。
「これですか、・・・」
と、額に手をつけて少し勿体つける店主。
「これは、本当は10万円するのですが、・・・」
と、女子高校生の顔色を伺いながら、
「もうこれが最後の商品でして・・・」
と、言葉を止める。
「10万なんて私には無理です・・・」
残念そうに言う。

「でも、若い人には、その様な金額は言えません。
どうですか3万円で!3万円ならお買い得ですよ。」
と、声を弾ませ言うが、女子高校生は、
何も言わない。

「仕方が無い、今日は特別サービスでその半額の
15000円でどうですか?」
と、押し付ける様に言う。

「本当ですか?15000円ですか!
それなら、ここにあります。」
と、嬉しいそうに財布を出してくる。
そして、手鏡をカバンに入れ嬉しそうに、
店を出ていく女子高校生。

「売れましたね、店主。」
「そうだね、馬鹿は何処にでもいるね。」

「でも、私、手鏡を購入した叔母さんですが、
嘘を付いているとは思えないのです。
本当に恋人を写す鏡かも知れませんよ。
私には想い人もいませんし。
店主も居ないでしょう!」

「本当だ、俺も恋人なんか居ないな〜」
と、寂しそうに言う店主。


女子高校生は帰宅するなり、直ぐに手鏡を
想いを込めて覗き込む。
「本当だ!あの人が写っている・・・・
凄い、・・・」
と、感動の声をあげる女子高校生。

手鏡に写っているのは、売れっ子作家の
スターボーン。
そう、あの売れっ子作家の
スターボーン。

追伸
ある人のリクエストで、この小説を書きました。
オチが強烈だったかな?
それとも、滑っていましたか?






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