2024年に読んでグッときた本12冊
年明けと言うには機を逸した感はありますが、まちづくりに携わる会社員が2024年に読んだ中でグッときた本を紹介していきたいと思います。それぞれの感想やサマリはたいていXでポストしていたのでnote上では雑感を中心にご紹介。
1.迂回する経済の都市論
年末に読んだ1冊。とくに「即自性」という考え方を大事にするところは響いたなぁ。イマココに集中する感じ。あとまちづくり・都市計画における「不特定多数への応答⇔個々人への応答」の矛盾も共感。
2.インフォーマル・パブリック・ライフ
2020年に読んだなかで自分的No.1だった「カフェから時代は創られる」の著者の新作。期待値が高すぎて不完全燃焼感はあったけど、あとがきの最終ページに記された以下の言葉は迂回する経済の都市論の課題意識にもつながる。
3.庭仕事の神髄
2024年に読んだ本でNo.1。宇野常寛さんの庭プロジェクトが頭の片隅にあった中で下北沢B&Bでたまたま目に留まり、せっかくなのでお迎えしたらサイコーの本でした。
庭とは人間にとって心身両方の避難所であり、かつ自然と向き合う場所でもある。その自然は人間に喜びや肯定感、はたまた限界や現実など様々なことを教えてくれる。
そのほかにも庭を起点にまちづくり、戦争、老い、死、時間といった様々な切り口から論じており、どの章もそれ単独でとても味わい深い。
4.庭の話
庭つながり。2024年の年末をフル活用してなんとか読み切った1冊。自分の力不足で正直まだ咀嚼しきれていないのがもどかしい。
SNSなどのプラットフォームが議論の中心ではあるものの、まちづくりの文脈としても得られるものが多かった。共同体の限界とかコレクティフとか都市の静脈とか。
5.中動態の世界
2年前に読み終えた暇と退屈の倫理学に続いて國分先生2冊目。前回に続き難しくて理解しきれていないけど、それでもなお自分の関心領域にグッと入り込んでくる内容だった。サブタイトルがすごいよな、意思と責任の考古学。
6.欲望の見つけ方
Facebookで「問いを生み出す前にそもそも欲望が必要なのでは」というつぶやきに対して友人が推薦してくれた一冊。他人が欲望を模倣しているのは気づくのに自分のそれは気づかない、というメタ認知案件だった。
7.利己的な遺伝子
23年末から24年始にかけてようやく読み切った鈍器のような物理的厚みの1冊。沼のように時間が吸い込まれたはずなのに、「人間は遺伝子を運ぶ乗り物」ということ以外もうあんまり思い出せない…。
8.忘れられた日本人
若林さん×畑中さんの共著が気になって、原典となる宮本常一の一冊をまず読んでみようと手に取る。いま気づいたけど結局まだ共著読んでない汗
つかみどころが無い感じだったけど、きっともっと咀嚼できるハズで自分の力不足を感じた。
9.教育の力
10年ほど前に著者本人のプレゼンを直接聞く機会があり、そのときからこの「自由の相互承認」は印象深かった。そのプレゼンは教育がテーマではなかったけど、改めて教育の観点から論じられても深く同意できる。
ちなみにこの時期ほかにも5冊ほど教育関連の推薦図書をもらい一気読み。
10.文化資本の経営
自他非分離の行きつく先が「地球」と「ローカル」ってのにしびれた。
ただ改めて振り返るとまだこの本のメッセージを咀嚼しきれていないかもしれない。けど直感的にはとても共感するし、ここに書かれていることは大事にしていきたいという気持ちにさせられた。
11.THINK BIGGER
イノベーション創出にとても真摯に向き合う著者の姿勢が印象深い。ただせっかくの実践書なのに、読了後まだ一度もこの手法に取り組んだことがないのはとても良くない。脱お勉強。
オレンジの装丁がとても印象的で、子どもがいつも本棚から引っ張り出していたずらする苦笑
12.GROWTH THE PIE
ページ数が多く話も金融寄りで読了までにけっこう苦戦した記憶。それでも金融サイドからのまなざしは普段触れる機会が少なかったので良い刺激でした。企業は実行による過ちより不実行による過ちの方が罪深いと喝破していたのが印象的。
今年はどんな良い本に出逢えるかなぁ。
ちなみに2022年の読んだ本まとめはこちら。2023年はまとめてなかった苦笑 2023年No.1の一冊を挙げるなら「すべては一人から始まる」でした。