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‘The Soul selects her own Society —‘ 何が選ぶのか

ただ 残されて 抜け落ちて
それでも伝えたいよ
魂の日々を
魂の意志を
ReoNa『ANIMA』

The Soul selects her own Society —
Then — shuts the Door —
To her divine Majority —
Present no more —

Unmoved — she notes the Chariots — pausing —
At her low Gate —
Unmoved — an Emperor be kneeling
Upon her Mat —

I’ve known her — from an ample nation —
Choose One —
Then — close the Valves of her attention —
Like Stone —


魂は自らの居場所を選ぶ
選んだら —— 扉を閉ざす
その他大勢のすばらしい者たちには
もう姿を見せぬ

もう動かない —— 低い門前に馬車が止まるのに気づいても
もう動かない —— 皇帝が靴ぬぐいの上にひざまづいても

私は知っている

魂は大勢の中からひとりを選び ——
選んだら—— 関心の蓋を閉じる

まるで石のように——



*天国で執筆してます。(詳しくは前回の記事参照↓)


Choose One —

ただ一つだけを選ぶ ——そんな厳格で、ある意味了見の狭いことを言っているのに、読んだときの印象はなぜか、むしろ広がりのある世界を感じさせる。そんな不思議な魅力をもった詩を今回は訳してみました。

1連では、まず前半の2行で「魂の選択」がキレのある言葉の連撃で綴られ、後半の2行は選択したあとの、これと決めたら貫き通す、魂の頑固さが表現されています。
鋭い切れ味と折れない強さ——まるで剣(sword)のような書きぶりです。

2連で描かれるのは、1連後半の「頑なさ」の部分を引き継いだ、お高くとまった魂が権威に動じない様子。ちなみに訳文で「もう」という共通の単語を置いたのは、この1連後半から2連全体へという流れを意識してのことで、日本語だけを読んでもその繋がりが感じとれるようにしたかったからです。

3連は再び、魂が選び、選んだらもうそれにしかこだわらない、と1連の内容が繰り返され、最後にそれは「石」のようだと、たった一つの比喩で締めくくられる。(魂の比喩は剣ではなかったとはいえ、昔は石器とかだったわけだし、当たらずとも遠からずでは…!?)

すごくないですか?…

この構成、そして

society/majority
door/no more

nation/attention
one/stone

音の響き合い。

驚くべきはこれらがいずれも1行目→3行目、2行目→4行目、の共鳴であり、

選び、貫く—-

そこまでやって魂だという2つのモーメントを架橋していることです。詩というよりもはや作曲?

すごすぎる…

と、ディキンソンの表現についてまだまだ掘り下げたいのですが、このままではいつまで経っても内容の解釈にまで入っていける気がしません。

だから僕らはそろそろこう問わなければならないはずです。

「魂が選ぶその『一つ』とは何なのか。」

というわけで、



……また次回!


『THE COMPLETE POEMS OF EMILY DICKINSON』
THOMAS H . JOHNSON, EDITOR











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