不安障害や強迫性障害との付き合い方
めっきり秋めいてきた。私は秋が好き。ご飯が美味しいから。
でも、美味しいものを楽しむことができるのって、精神が健康だからだと思う。精神がすり減っている時は、何を食べても美味しくない。
「食欲がある!」=「心が健康である」という判断基準になっている。そう思えてきたのはここ数年で、14歳の時に不安障害、強迫性障害と診断されてから15年くらい経ってやっと、自分との付き合い方がわかってきた。
私の経験が誰かの役に立てばいいなと思って、15年前のことから記録してみる。あまり楽しい話ではないけれど、必要としている人に読んでもらえたら嬉しい。
不安障害、強迫性障害になるまで
14歳の冬、母親が私を連れて家を出た。
中学校も友達と離れた学区外から通うようになった。突然の環境の変化についていけず、段々と精神がすり減っていくのを感じた。
まず眠れなくなった。目を閉じると両親の大喧嘩や父親の怒号がフラッシュバックするようになった。だから、朝なんて起きられない。学校に行けなくなる。昼間は気絶するように寝ていた。夜になると、家族が恋しくなった。泣いて泣いて疲れて眠れそうになると、またフラッシュバックがやってきて眠れない。
半年くらい経つと、ずっと不安を感じるようになった。その不安は日常に広がるようになった。顕著になったのは、外出する時。
・鍵を閉めたか?
・水栓を閉めたか?
・給湯器の電源を落としたか?
・コンロの火は止まっているか?
外出しても、気になって不安になってまた家に戻ってきて確認してしまう。そのうち、外出するのが面倒になって、どうしても外出する時は確認作業のルーティンに30分掛かる始末だった。
外出できても、
・私は実は刃物を持っていて、誰かを加害してしまうのではないか?
・道路を走る車がこちらに向かって来るのではないか?
・すれ違う人が私を加害してくるのではないか?
ありとあらゆることが不安になって仕方がなかった。狂ってる自覚はあるが、自分ではやめられない。叔母に連れられて、母が精神科を受診したので、私も診てもらった。
・不安障害
・強迫性障害
・睡眠障害
3つ診断結果が出て、薬を飲むようになった。
飲んでいた薬は確か……
・デプロメール
・サイレース
あと何種類か飲んでいた気がする。
とにかく、15歳頃から約10年間はこの薬を飲み続けることになる。
(10年もお世話になるつもりなんてなかったけど。)
向精神薬を服用した10年間の向き合い方
さて、上記の薬は何が怖いかって、その依存性である。とにかく、やめられない。手放すのが怖い。特にサイレースは飲まないと眠れなくなってしまった。やめたくてもやめられなかった。
何とか高校に入学した。全校で1ヶ所に集まって集会をすることが多くなった。そんな時、動悸がするようになった。全校生徒の視線が自分に突き刺さっている感覚がした。緊張して、お腹が痛くなった。しばらく我慢していると、苦しくなってくる。過呼吸。
それで何度も途中退室するようになった。
この頃は同居する母親とも上手くいっていなくて、とにかくすべてを投げ出したくなっていた。
クリニックの先生に相談すると、パニック障害だと言われた。頓服薬を出してもらって、何か大勢で集まるような学校行事などはこれを飲んで乗り切っていた。
幸い、友達には恵まれた。
勉強も好きだった。大学を出て就職して、お金を貯めて一人暮らしを始めた。もちろんこの間ずっと、薬を飲んでいた。
この辺りのことは、別記事で少し触れているので参照としてリンクしておこう。
例えば誰かと泊まりで出かける時、隠れて薬を飲むのは辛かった。でも、これがないと私は人間のかたちを保っていられなかった。
途中、向精神薬がデプロメールからパキシルに変わった。個人的にはこちらの方が効果的だった気がする。
断薬に向けての減薬、それに伴う離脱症状
「薬やめよう」と決意したのは、26歳頃。
ひとり暮らしを始めて病院にかけるお金を減らしたかったから。なんとも現実的な理由……。
この頃は不仲の母と離れ、父と和解し、精神的にも安定してきていた。実はこれまで何度も減薬には踏み込んだが、いつも挫折していた。
今ならいける!と思い立った。医師の了承も得た。
これが、ほんとうに辛かった。
ピンシャリ感と呼ばれる、独特な目眩?のような体調不良。車の運転も辛かった。少しでも動くと気持ちが悪くなった。体重が3kg一気に落ちた。
どうやら、パキシルは効果も鋭いが離脱症状も鋭いらしい。薬が体から抜ける約3週間、地獄のような日々だった。
今なら言えるが、あの離脱症状をまた味わうくらいなら、2度と向精神薬を飲みたくない。
向精神薬の服用をやめてから現在
今約3年ほど、薬を飲んでいない。
前に飲んでいた薬は、念の為に手元にある。やばくなってきたら頓服薬として飲んでも良い、と医師から言われたからだ。
しかし、今の私は向精神薬を飲んでいた10年間の、どの時期よりも前向きだ。
断薬を継続できている要因として、
・養ってもらわないと生きていけない身分ではなくなったこと
・好きなときに好きなことができること
・適度な運動をしていること
・適切な食事をしていること
・趣味があること
があげられると思う。
自分に関する裁量が自分にあるということは、本当に素晴らしい。
誰かの機嫌を取らなくても、私は生きていける。
それが「自由」ということなんだと思う。自由を手にして、初めて前向きになれたんだと、過去をふりかえって思う。
今向精神薬を飲んでいる人、やめたいと思っている人。
人生には適切なタイミングがあって、無理にやめようとすると逆効果なこともある。前向きになれ!と言われて前を向けるほど強くはなれない。タイミングが来るまで、待とう。薬に頼ろう。それは悪いことじゃない。
きっと、「今ならできる!」と思える日がくる。その日まで少しでも今できることをやってみよう。
今後、私がいつまで生きているかなんて分からないけれど、生きているうちは自由を手にして生きていたい。それが私の生きる意味だから。