芍薬が笑う(日記/cinemastaff)
「ねえ、どの道歩いて帰ってきたの?全身から悲しい香りがする。」
玄関を開けるやいなや、ミモザの大きな花束を抱えて春を祝いに来た僕に
君が言った言葉。
だって仕方ないよ、春の嵐のように大きな花びらをを振り撒いて駆けていく君が眩しすぎるからだって、僕は知ってる。
「一生大事にする、火事になったらこれだけもって逃げるね」
花束を抱えて、目を閉じる君に
思い出は燃えたりなんかしないから、そんな事より早く逃げてほしいって真剣に言うと
「でも形があるかぎりは有限だよ」
と芍薬の花が開い