コツコツ努力だけ、が大変。『ロシア語だけの青春 ミールに通った日々』黒田龍之助
大好きな黒田先生の本。帰省途中のバス&フェリーで読了しました。さくさく読めて、しかも語学学習の基本を思い出させてくれるいい本でした。
黒田先生の本がおもしろいので、語学に関する本やエッセイはみんなおもしろいかと勘違いしてしまいますが、実は黒田先生レベルに楽しく読ませてくれる本はなかなかありません。期待したのに、残念というものも多々。それもそのはず。実は、語学学習って、とても地味で孤独なものだからです。
小さな子供だったら、脳みそスポンジ状態で、お母さんやお父さん、おばあちゃん、おじいちゃんなんかの言うことを真似てオウム返しにするだけで楽しいし、それで覚えられます。でも、大人になると、そんな単純なことはつまりません。しかも、頭の中にはすでに母語がインプットされた状態で、わざわざ、また別のもの隙間つくってグイグイ押し込むのは、どんな人にも苦痛です。
語学は、ただひたすら続けるだけ。忘れたら、また覚えるだけ。黒田先生みたいに語学に堪能な人でも、まずは暗記。ひたすら暗記。基本的な単語を覚えて、基本的な言葉の順序や言い方を覚える。それだけ。母語なら自然に覚えられるものも、外国語はひらすら意識して暗記、朗読、復習。もし、同じ言葉を習う友達がいたらラッキーです。伴走者兼ライバルでがんばれますから。
そして、ある程度インプットされたものがたまってくると、初めてコミュニケーションの楽しさを味わえるのが外国語です。でも、そこまで行けずに挫折する人たちの方が多いハズ。語学を楽しく勉強するには、不屈の精神が必要です。三歩進んで二歩下がってもめげない、失敗しても笑える前向きな心がないと辛い。。。
黒田先生の本が人気なのは、孤独な勉強が辛いときに読むと、クスっと笑って「がんばろう!」って気にさせてもらえるからですよね。
ところで、黒田先生が「試験が苦手だった」と書かれていたところに、なぜかものすごく親近感を持ってしまいました。もちろん、先生が「苦手」というレベルと私では天と地ほどの差があるのはわかっています。でも、世の中いくら能力があっても、試験とかを受けて既存のレールに乗ることが苦手な人はやっぱりいて、黒田先生もその一人だとわかったのがうれしかったです。
この本は、きちんとした語学を身に着けたい人におすすめです。私も、久しぶりに学生時代を思い出して、背筋が伸びました。がんばります!