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音楽がつなぐ、人との出会い。映画『ONCE ダブリンの街角で』アイルランド、2006年


『はじまりのうた』がよかったので、同じジョン・カーニー監督の他の作品も見てみました。やっぱり音楽への愛情たっぷりで、どの曲も素敵。そして、登場人物たちがみんな音楽を愛してるところもすごくいいです。

この映画『ONCE』は、アイルランドの音楽映画。アイルランドの首都ダブリンを舞台に、ストリートミュージシャンだった30才の地元の男性と、チェコ系移民で花を売って暮らしている女性が、音楽を通して心を通わせていくラブストーリーです。二人をつなぐのは、音楽。

全くの偶然から、理想的な相手に巡りあったのに、お互い若くないので、それぞれ生活のしがらみがあります。男性には年老いた父がいるし、女性にはチェコに残してきた夫と娘がいます。二人の切ない出会いとわかれの物語ですが、人生はそんな風に突然、一瞬だけ美しい姿を見せてくれたりするから不思議ですよね。

カーニー監督の映画も、いつも、お伽話のように、映画を見ている間だけきれいな夢を見せてくれます。そして、見終わった後、「また、がんばろう」「きっと、今度は上手くいく」って思えるような素敵な夢。

音楽が、人と人とを結びつけ、仲間をつくる。現実社会が厳しくても、辛くても、音楽をやっているときだけは幸せを感じることができる。それは、自分だけが満足するのではなくて、自分よりも大事なものを見つけることで得られる。そういうメッセージが、小さなエピソードの積み重ねで綴られる映画なので、とても心地良いです。切ないですが。

映画の中で使われる音楽が、どれもステキなのもいいです。普段はあまり知らないミュージシャンの曲が聞けるのも、映画ならではです。音楽好き、ささやかな人生の物語好きにおすすめです。

邦題:ONCE ダブリンの街角で(原題:Once)
監督・脚本:ジョン・カーニー
主演:グレン・ハンサード、マルケタ・イルグロヴほか
製作:アイルランド(2007)87分

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