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みんなで楽しめますように!『フットボールde国歌大合唱!』 いとうやまね

ワールドカップ常連……というよりは、著者の好きな国のサッカー選手とその国、そして歴史が上手く絡めて書いてあります。通勤電車の往復だけで、十分楽しめます。

普通の人は南米や中東欧の国の詳しい歴史の入門編として十分楽しめるし、ノリがよくて、詳しい人ならちょっとつっこみを入れつつ読むこともできるはず。そして、普通の歴史の本にはおそらく詳しく書かれていないだろう、国歌の来歴とマイナーチェンジがほどよくわかるのもおもしろいです。

あと、各国の国家の歌詞が原語とカタカナ発音、そして意味まで詳しく解説されています。痒いところに手が届くというか、雑学的なサービスもうれしい。

個人的には、政治不安定な国で政権が変わるごとのマイナーチェンジ部分が興味深かったです。何番と何番は歌詞に問題があるので、現在は○番だけ歌うとか、曲だけあって歌詞がないとか。かつて歌うのは禁止されていましたが、政権が変わって復活したとか。

当たり前ですが、国歌はダイレクトにその国の政治を反映しているのですよね。とくにフットボールの場合、映画でも古くは『勝利への脱出』とか、最近でも『キーパー ある兵士の奇跡』とか、政治と結びつけた作品が割とあります。ラグビーでも映画がありましたっけ。マンデラ大統領が登場する『インヴィクタス』でしたっけ。

現在でも、過去の植民地時代への批判で国歌を歌わない選手がいるとか、差別事件にチーム全員が抗議するために試合前に膝をついたりとか、そういうニュースが話題になります。ドイツで移民系の選手が差別耐えきれず、抗議の代表辞退なんてこともありましたっけ。

できることならスポーツ選手がそういう差別や政治問題に巻き込まれず、試合に打ち込めたらいいなと思いますし、ファンもそれをサポートできたらいいのですが。

目次
第一章 カンピオーネ
フランス、イタリア、アルゼンチン、ブラジル
第二章 ラテンの血が騒ぐ
ポルトガル、スペイン、メキシコ、ウルグアイ、パラグアイ、
第三章 サッカーの母国
イングランド、スコットランド
第四章 ビバ! 中・東欧
ポーランド、クロアチア、ロシア、トルコ
第五章 ダークホースだなんて言わないで
ドイツ、アイルランド、カメルーン
第六章 ホスト国の憂鬱
韓国、日本
第七章 裏ワールドカップ
オランダ、チェコ、ユーゴスラビア、ルーマニア、チリ


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