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夕遊の本棚

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ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。
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#小説

密やかで美しい短編集。『約束された移動』小川洋子

誰かの読んだ本を追いかけることを「古風な愛」と言ったのは、氷室冴子さんの『さようならアル…

夕遊
1年前
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神官も鬼も人がなる。『天官賜福』4巻、墨香銅臭

『天官賜福』の台湾版(平心出版)4巻は、第68章から90章まで。噂では、4巻は3巻よりも地獄…

夕遊
1年前
92

大好きな漫画家さんの作品が映画化。『金の国 水の国』2023年。

いやもう、公開すぐに家族で行ってしまいました。岩本ナオさんは、『町でうわさの天狗の子』か…

夕遊
2年前
30

木もれ陽みたいなやさしい小説。『博士の愛した数式』小川洋子

何年も前に読んだ本で、映画も見ました。でも、やっぱり原作の小説がすばらしいです。2004…

夕遊
2年前
28

雄大な草原とそこに住んでいた人々と狼たちの最後。『神なるオオカミ』姜戎

10年くらい前、毎年夏の中国内モンゴルに出張してました。その時に仲良くなったモンゴル族の…

夕遊
2年前
25

古代史をガッチリ楽しめるファンタジー『銀の海 金の大地』氷室冴子

中学時代に発見した氷室冴子作品。高校時代以降、ずっとリアルタイムで読んでいました。20代…

夕遊
2年前
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塾の勉強に夢と希望があった時代。『みかづき』森絵都

昭和36年から平成へ、塾をめぐる先生たちの熱意や家族の物語。各章ごとに結構時代が跳んでいるので、長い時代を描いているわりには、スピード感があるから読みやすいです。NHKでドラマ化されたのも納得。同じNHKで、塾をあつかった連続ドラマ『名古屋お金物語2』を思い出しながら読みました。廃業した回転寿司のお店で、塾をやってたお話です。 進学することで人生が開けた時代。学校が、子どもたちの受験勉強をサポートしきれなかった時代。大手の塾なんかがなかったので、個人経営の塾がたくさんあった

静かで繊細であたたかな物語。『線は、僕を描く』砥上裕將

『線は、僕を描く』っていうタイトルが素晴らしすぎました。こんなステキなタイトルをつける作…

夕遊
3年前
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読むと元気が出る手紙集。『まことに残念ですが・・・不朽の名作への「不採用通知」160選…

これは無名だったパール・バックが、『大地』の原稿を見せた出版社から受け取った不採用通知。…

夕遊
4年前
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青春時代の思い出の作品。『なんて素敵にジャパネスク』氷室冴子

とあるウェブメディアで、コバルト文庫の80年代投票やっているようです。私の場合、氷室冴子…

夕遊
3年前
30

シリーズの中で一番スキかも。『ジェネラル・ルージュの凱旋』海堂尊

以前、『チーム・バチスタの栄光』がおもしろくて、シリーズを全て読み漁ったことがあります。…

夕遊
3年前
12

たくましい女の子の物語。『毒見師イレーナ』マリア・V ・スナイダー

猛烈にライトな小説が読みたくて、あちこちおすすめを探していたときにたどり着いた本。原題は…

夕遊
3年前
14

誠実な仕事、という大事なもの。『舟を編む』三浦しをん

『舟を編む』が、さんざん話題になったときには仕事が忙しくて読めず。ようやく読めたのは、映…

夕遊
3年前
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宇宙とSFには、まだまだ想像力を振るう余地がある――『三体Ⅲ 死神永生』藤井太洋氏解説再録

『三体Ⅲ 死神永生』、おかげさまでたいへんなご好評をいただいております。もうゲットされましたでしょうか? 本日は藤井太洋さんによる解説を再録いたします。2015年の世界SF大会以来、中国SFの躍進を肌で感じてきた藤井さんは『三体』をどう読まれたのか? おたのしみください。 解説 藤井太洋  #スリー・ボディー・プロブレム  本書の存在を意識したのは、2015年にワシントン州のスポケーンで行われた第74回目の世界SF大会、ワールドコン・サスコンに参加するために渡米した時だっ