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夕遊の中国旅

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中国大陸とその周辺に関連する本や映画の話題を集めてみました。
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#読書記録

世界史知識をアップデート。『帝国で読み解く近現代史』岡本隆司、君塚直隆

近代中国史・近代アジア史の専門家とイギリス政治外交史・ヨーロッパ国際政治史の専門家のお二…

夕遊
5日前
17

中国の盗掘アドベンチャー『盗墓筆記1』南派三叔(光吉さくら、ワンチャイ訳)

以前、中国の友達におもしろいドラマだと紹介された『盗墓筆記』。でも、予備知識のない私には…

夕遊
2週間前
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中国の人気ミステリーシリーズ原点。『死亡通知書 暗黒者』周浩暉(稲村文吾訳)

先日読んだ『邪悪催眠師』が新鮮でおもしろかったので、こちらの作品も入手。シリーズものらし…

夕遊
1か月前
30

香港、華南が育んだグローバル中国語。『広東語の世界』飯田真紀

香港の映画でおなじみの広東語。中国南部の言葉で、東南アジアやアメリカにわたった華僑たちの…

夕遊
1か月前
36

推理と心理戦が交錯する。『邪悪催眠師』周浩暉(阿井幸作訳)

読みだしたらとまらない、一気読みのミステリー。物語の舞台は中国の架空の都市、龍州市。私が…

夕遊
1か月前
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偉大な中華帝国のリアル運用。『中国ぎらいのための中国史』安田峰俊

日本では、歴史はだいたい、「昔あったこと」。明治維新はよかったけれど、日清・日露戦争を経…

夕遊
1か月前
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心躍る歴史冒険サスペンス。『両京十五日』馬伯庸(齊藤正高、泊功訳)

物語の舞台は中国、明の時代。日本でいうと室町時代ごろ。主人公は有名な永楽帝の孫で、皇太子の朱瞻基(しゅせんき)。首都北京から南京へ派遣されたのですが、彼が港に到着したとたん、乗った船が爆破され、事件は起こります。 ここで登場するのが、犯罪人を捕まえる下っ端の役人(捕吏)の呉定縁(ごていえん)。港であやしい人物を捕まえて、役所につき出そうとしたら、なんとそれが皇太子だったというオチ。皇太子と呉定縁を偶然受け入れることになったのが、下級役人の于謙(うけん)。科挙でトップクラスに

モダン都市東京と台湾の近現代を撮った写真家の物語。『南光』朱和之(中村加代子訳)

この小説は、台湾が日本の植民地だった時代から始まります。主人公は、裕福な客家の家に生まれ…

夕遊
4か月前
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中国社会の暗部に挑む男たち。『検察官の遺言(長夜難明)』紫金陳(大久保洋子訳)

中国ドラマの名作『ロング・ナイト』(沈黙的真相)の原作。私は先にドラマを見ているので、ド…

夕遊
4か月前
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世界はシステムでつながっている、はずだったけれど。『ハロー・ワールド』藤井太洋

どういう経緯で評判を知ったのか、忘れてしまった頃に入手。読んで驚きました。書いてあること…

夕遊
4年前
20

今年必読の1冊。『台湾のデモクラシー メディア、選挙、アメリカ』渡辺将人

今年は台湾の選挙イヤー。そのおかげか、昨年、一昨年と台湾関連の良書がたくさん出版されて、…

夕遊
7か月前
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新しい世界は闇から始まる。『闇の中国語入門』楊駿驍

「歌は世につれ、世は歌につれ」。それは歌だけでなく、言葉も同じ。新しい言葉ができたり、海…

夕遊
7か月前
45

中国の恐竜事情がおもしろい。『恐竜大陸中国』安田峰俊(田中康平監修)

子どもにとって、恐竜の話題はいつだって人気コンテンツ。夏休み限定だった番組が、先生たちの…

夕遊
8か月前
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スリリングでミステリーでおいしい小説は反則『炒飯狙撃手』張國立(玉田誠訳)

狙撃手(スナイパー)のイメージといえば、孤高。人付き合い苦手。無駄なことしない。無口。ストイック。百発百中の仕事人。なのに、本書のタイトルは「炒飯」+「狙撃手」。炒飯ですよ、チャーハン!!! この矛盾率高過ぎな言葉の並びだけで、中華好き&言語好きの10人中7.3人は本を手にとってしまうはず。 主人公の狙撃手「小艾(シャオアイ:艾礼)」は、組織の指示通り、ローマで東洋人のターゲットを射殺しました。あちこちにある防犯カメラを想定して、変装と移動を繰り返し、完璧な仕事をしたはずな