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夕遊の中国旅

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中国大陸とその周辺に関連する本や映画の話題を集めてみました。
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2020年8月の記事一覧

世界はシステムでつながっている、はずだったけれど。『ハロー・ワールド』藤井太洋

どういう経緯で評判を知ったのか、忘れてしまった頃に入手。読んで驚きました。書いてあること…

夕遊
4年前
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密林は砂漠よりも猛し。高野秀行『西南シルクロードは密林に消える』

中国四川省の成都を中心とした古代の「蜀」王国。 そこからインドまで続く、西南シルクロード…

夕遊
4年前
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中国に返還される前の香港。『食べ物が語る香港史』平野久美子

中国との関係に揺れる香港。アヘン戦争当時、イギリスの政治家から「家一見建ちそうにもない不…

夕遊
4年前
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果てしないチャイニーズ。『もっとさいはての中国』安田峰俊

『さいはての中国』の続編。 おもしろさは、さらにパワーアップしています。 序章 濃厚な「中…

夕遊
4年前
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中国共産党の独裁に逆らった男の話。『「暗黒・中国」からの脱出』顔伯鈞・安田峰俊

出張の往復で一気に読了。おもしろ過ぎます。 それは、多分抄訳された安田さんが言うように、…

夕遊
4年前
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怖すぎて、おもしろすぎる社会派ミステリー。『十面埋伏』張平(荒岡啓子訳)

タイトルの十面埋伏というのは、周囲に隙なく伏兵が潜んでいること。この小説の場合、警察組織…

夕遊
4年前
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60年前に別れた恋人との再会。映画『再会の食卓』中国、2010年

1949年、中国大陸で中華人民共和国が成立。 内戦に負けた国民党の兵士だった夫は台湾へ逃れ、身重の妻が残された。家柄の良かった娘は、路頭に迷うところを、共産党兵士に助けられ、再婚。 台湾へ渡った夫も5年後に台湾の女性と結婚。 その後、40年の間、台湾海峡は冷戦の緊張状態で訪問どころではなかったけれど、1980年代末になって交流することができるようになり、かつての「老兵」も故郷の中国へ帰ることができるようになった。そして、40年前とはまた違った悲喜劇が、またたくさん生まれたら

手探りの日中合作。映画『未完の対局』日本・中国、1982年

以前、私が田壮壮監督の『呉清源』に入れあげていたときに先輩から教えてもらった映画。日中国…

夕遊
4年前
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本物の鬼は誰!?『中国魅録「鬼が来た!」撮影日記』 香川照之

2000年のカンヌ映画祭でグランプリをとった姜文監督の『鬼が来た!』 それに主演した香川…

夕遊
4年前
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専門家のすばらしい解説。『梅蘭芳 世界を虜にした男』加藤徹

大好きな加藤徹さんの本ということで、最初からわくわくして読みました。 読みやすく、でも資…

夕遊
4年前
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中国との商売が牧歌的だった時代。『中国てなもんや商社』谷崎光

首の入らないTシャツ。プリント部分がくっついて、蛇腹のようになってしまったシャツの山。ジ…

夕遊
4年前
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謎の多い魅力的な女優。『もう一人の彼女 李香蘭/山口淑子/ シャーリー・ヤマグチ』…

「女優の自伝をまともに信じてはいけない」とは、数多くの中国映画の字幕を担当し、書籍を翻訳…

夕遊
4年前
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中国の歴史をざっくり掴むとこんな感じ?『中国の大盗賊・完全版』高島俊男

高校時代の世界史の資料集に2つの絵がありました。 両方とも明の太祖朱元璋の肖像画で、1つ…

夕遊
4年前
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実はご本人には似てないらしい。映画『呉清源 極みの棋譜』日本・中国、2006年。

呉清源という囲碁の棋士を知った頃、彼をモデルにした映画化の話を知りました。主演が大好きなチャン・チェン(張震)ということで、ものすごく期待したし、クランクインしてからも、クランクアップしてからも待ち続けて長かったです。 監督は田壮壮ということで、万人受けする映画じゃなさそうなことは予想していたけど、それでも楽しみでした。日本公開前の中華圏のニュースでは、どうやら酷評っぽいらいしことも情報としては入ってきていたけれど。 そして、公開初日。期待に胸膨らませつつ、でも過剰に期待