【悲報】ロングスリーパーが睡眠時間を削った末路
ロングスリーパーとは、1日に10時間以上(9時間以上とも)の睡眠時間を必要とする人たちのことだ。
睡眠時間だけで判別できるのだとしたら、おそらく僕もロングスリーパーということになる。
21時には就寝して朝7時過ぎに起きてくるのが、昔から僕にとって一番調子が良い生活リズムだ。
ところが、社会生活を営んでいると、そんなに長い時間寝ていられない。
帰宅時間が早く、宿題も簡単だった中学生くらいまでなら睡眠時間を確保できていたが、高校生になると部活が終わる時間は遅くなるし、予習することが前提の授業スタイルだったので、毎日宿題と予習に追われて睡眠時間は7時間くらいまで削った。
このころから授業中に居眠りをするようになったり、集中できなくなったりと不具合が出てきた。
大学生になると時間に余裕が出来たので再び10時間睡眠の生活リズムに戻った。
講義は1コマ90分で、高校の授業より40分も長いのだが、居眠りすることもなく集中して受講出来た。
そのおかげで単位を落とさずに済んだし、精神的にも充実していたように思う。
だが、十分な睡眠時間を確保できたのは最初の2年間だけで、3年生以降は卒論の為の実験に追われて研究室に寝泊まりして、課題に追われる日々を送るようになった。
ゼミの仲間と半共同生活になって楽しくもあったが、常に頭の中にモヤがかかったような、思考がクリアにならない感覚を抱くとともに、理由もなく憂鬱な気分に陥るようになった。
社会人になると、もはや10時間睡眠は不可能になった。
最初に就職した会社では、朝7時に家を出て8時から現場作業を行い、18時過ぎに帰社後、報告書の作成を行った。報告書がまとめ終わる頃には、職場のラジオからジェットストリーム(TOKYO FM 24時~)が流れていた。
結局、この職場は半年で退職したのだが、その間に体重は10㎏減り、原因不明の鼻血や喘息、湿疹等の体調不良が相次いだ。
精神的にもかなりボロボロな状態で強い希〇念慮を抱いていた。
精神科に受診していれば、うつ病と診断されていただろう。
転職した2社目の会社も残業の多い会社だった。
繁忙期でなくても残業時間は少なくて40時間、繁忙期なら100時間を軽く超える。
休日出勤もザラだった。
相変わらず必要な睡眠時間は摂れない。
それでも、肉体的な負担は前職よりも少なかったし、給料も良かったから、幾分かマシになったと思うことにした。
しかし、ここでも働き続けることは出来なかった。
入社して7年が経ったある朝、ベッドから起き上がろうとしたら身体が鉛のように重くて動けないのだ。
さすがにヤバいと思って精神科に受診すると、うつ病と診断され、すぐさま休職することになった。
実は、こうなる前から眩暈や動悸などの異常はあったし、ストレスチェックでも毎回”高ストレス”と判定されるなど予兆はあったのだが、仕事に穴をあけたくないとか、周りの人も忙しいのに自分だけ休めないとか、他人の目を気にしすぎて自分自身に向き合わなかったのだ。
僕にとって、うつ病は心身の主張に向き合わなかった「罰」なのである。
療養を始めた当初、眠剤の効果もあって一日20時間くらい寝ていた。
医師によると、それだけの疲労が溜まっていたということらしい。
あまり知られていないのかもしれないが、うつ病になると健康時よりも遥かに体力が少なくなる。
僕の体感だが、健康時の体力を100%とすると、うつ病発症時点の体力は30%にも満たない。
その30%に満たない体力で人並みのことをしようとすれば電池切れにもなるし、回復にも時間がかかる訳だ。
こんな単純なことが解っていれば就労不能になる前に有給でも使って、たっぷり寝て回復することも出来ただろうに、後悔先に立たずである。
うつ病には波があって、眠れる時期と不眠が続く時期があるのだが、僕は今、それを繰り返しながら、徐々に本来の睡眠時間を取り戻している。
眠りが浅く、早く目覚めたときは敢えて二度寝、三度寝する。
そうした方が抑うつ症状をいくらか緩和できるからだ。
こういう生活は、時間に追われていない今だから出来ているのかもしれないが、僕の身体はこれが本来の生活リズムである。
社会復帰したとしても、この生活リズムは守らなければならない。
どんなにお金を稼いでも、健康を損なえば幸福になれないことは、身をもって痛感した。
こんな辛い経験を繰り返さないためにも、寝ることを惜しまないようにしたい。