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#8 場所と道具が人と町をつなぐ「Hand Saw Press」
企画の会社オレンジ・アンド・パートナーズでは、CROSS FMのラジオ番組「X MAGIC/クロスマジック」の中で、オレンジ社のコンセプトでもある「サプライズ&ハピネス」をテーマとしたミニコーナーをスタッフが制作・出演しています。
番組について知りたい方は「#0 カダイカイケツラジオ X MAGIC、noteはじめました」をぜひ読んでみてください。これまでの境界線をとびこえて、かけ算することでマジックは起きる!毎週土曜の夜、すこし先の未来のハピネスを考えます。
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創作活動をもっと身近に、もっと気軽に。
大田区にあるリソグラフとDIYのオープンスタジオ「Hand Saw Press」。パブリックに開かれたこのスペースは、世界からさまざまなアーティストたちが訪れる交流の場になっています。
スタジオが始まったきっかけは、元々建築、料理、インテリア、イラストとそれぞれ得意分野が異なる、ご近所の仲良し3人組が「自分たちが創作活動に没頭できる場所が欲しい」と意気投合したことから物語は始まります。
現在では東京と京都の二拠点にスタジオを構え活動をしており、東京スタジオは建築家の菅野さん、空間デザイナーの安藤さん。京都スタジオでは食堂店主の小田さんが担当。
本やZINEの出版、ポスターやアートブックの印刷から日曜大工まで。場所と道具を町にオープンに開くことで、いろいろな人が共創をする、そんなつながるものづくりを続けています。
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リソグラフ印刷然り、アートや芸術は決して難しいことではなく、誰でも気軽に始め、楽しむことができます。Hand Saw Pressには、近所の小学生やおばあちゃんも気軽に立ち寄り、リソグラフを体験しているのこと。このようなスタジオが全国各地に増えていくことで、創作活動はもっと身近になり、人と町がつながる機会が増えると思います。
世界から注目される日本のリソグラフ印刷
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みなさんは「リソグラフ印刷」をご存知でしょうか?リソグラフ印刷は、ガリ版やシルクスクリーンと同じ孔版印刷の原理を利用した印刷手法で、「プリントごっこ」を開発した日本の印刷会社、理想科学工業の簡易印刷機です。
リソグラフの良いところは、ガリ版やシルクスクリーンのように手間をかけず、コピー機と同じような感覚で、誰でも手軽に印刷を楽しめるところ。
日本では元々、そのシンプルな仕様と扱いやすさから、小学校に取り入れられ宿題のプリントやチラシ印刷など身近な事務用品として活躍していました。しかし、海外ではリソ印刷特有の「発色の良さ」や「インクのかすれ」など、シルクスクリーンに通じるその芸術的な表現手法として注目され、逆輸入的に日本のアートシーンに多大なる影響をもたらしました。
こうしたリソグラフのスタジオは世界各地にあり、Hand Saw Pressも日本を代表するスタジオの一つとなっているのです。
そして今回、Hand Saw Pressを訪れたお絵かき好きのオレンジスタッフが、X MAGICのオリジナルポストカード作りに挑戦してきました!
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リソ印刷のデータの作り方は独特で、データの扱いに慣れているはずのスタッフも一苦労。そんな時はスタジオのスタッフの方がとても丁寧に教えてくれます。(友達になりました!)
そして、〝ドラム〟と呼ばれる専用のインクから好みおカラーを選択し、スタート。実際に印刷し出来栄えを確認してみると、う~んイマイチ!
ここから、少しのズレや色味を微調整して行きます。試し刷りを繰り返し、自動だけど全自動じゃない。この手間がかかる感じが、創作意欲をどんどん掻き立て、トライ&エラーを経て、どんどん作品が良くなっていく。それがリソグラフの真の魅力だと思いました。
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あっという間に楽しい時間は過ぎ、無事にポストカードが完成!スタジオで、軽部さんや宮崎さんにお渡ししてきました。
収録後記
Hand Saw Pressを知ったのは、尊敬する大学の先輩の卒業制作がきっかけでした。何層にも複雑にレイヤーされた作品は圧巻で、いつまでも眺めていられる美しさ。それがリソ印刷と初めての出会いでした。かつて、先輩がHand Saw Pressのスタジオに泊まり込み、制作に打ち込んでいたという話は有名で、そんな素敵なスタジオにいつか行ってみたいと思っており、この取材をきっかけに繋がりを持ててとても貴重な経験位なりました。Hand Saw Pressでは、スタジオ利用だけでなく、さまざまな場所で定期的にイベントやワークショップを開催しています。ぜひ、気になった方はHand Saw Pressのinstagramを覗いてみてください。
https://www.instagram.com/handsawpress/