曜日を間違える
私は、たまに曜日と日付の対応を間違える。誰かから指摘されて初めて気がつく。だが、その後もすぐに訂正できるわけではなく、混乱が続く。どれぐらいの混乱かというと、自分自身で何度もカレンダを見直して納得を得るのに数分以上かかるほどだ。数十秒も経つと、「相手を待たせている」という不必要な焦りも出てくる。
この認知機能の低下には複数の要因が考えられる。しかし、一方で自覚しにくい。なぜならば、筋肉の疲労などを感じていなくても、間違える・気がつく・混乱するの状態が継続していることがあるからである。
(1)認知機能の低下の要因のひとつは、たぶん知的な「疲労」あるいは何らかの認知資源の枯渇だろう。これが進行すると、ひどく知能が低下した〝あの日〟のようになる……と認識している。〝あの日〟とは、私自身が一時的に認知症のような症状が出た日のことである。そこまで認知が悪い日は今までに片手で数えるほどしかない。例えば、言われた記号列や自分の住所などを何度注意して書いても書き間違えるといった症状が現れる。不思議なのは、単に間違えるとか完全に事実誤認しているというわけではなく、少なくとも指摘されれば気づける程度の認知能力は残っているが、手で書くという筋肉を使った作業をしている途中ではそれが働かないという半端な状態になっていたことである。そういう状態に陥った日はもちろん恐ろしかったが、記号を扱う作業以外(例えば帰宅する)は一応正常にできたし、一晩眠って次の日には回復したので今までは何とか生き延びられている。
(2)疲労以外の要因としては、例えば病院の窓口で月間カレンダが横に2個並べてあって次の日取りを決めてくださいと言われるようなシーンがある。このような装置はもちろん顧客に日程を決めやすくしてもらうためにあるのだが、しかし、私の視覚はかえって混乱してしまう。なぜならば、この視覚はどうやら一度に1個の月間カレンダまでしか認知できないようだからである。だから複数の互いにつながったカレンダが並んでいて見渡して考えなければならない……と思うと目移りが頻発し容量オーバーになってしまう。私はなんと知能が低いんだろうと思う。
月間カレンダが横に2個並ぶ場合、私は4通りを考えなければならない。すなわち、左右にn月、(n+1)月と配置してあるか、(n-1)月、n月と配置してあるかの2通り。かつ、日曜始まりか月曜始まりかで2通りで、2 x 2 = 4通りである。この4通りを意識しないままに横に並んだカレンダをみたとき、私の視覚はおそらく日付の数字と曜日のカラムと月の数字に同時に注目できない。この作業を確実に当然にこなせる人には不思議でしかないだろうが、例えば日付と曜日を意識すると違う月のカレンダをみてしまうし、月(何月かではなく左右のどちらが「来月」なのか)と曜日に注意を向けると、なぜか日付を間違える。これが疲労以外の混乱要因である。
おそらく、上記の要因のうち、情報の呈示のされ方については自助努力で何とかすることもできるだろう(例えば、カレンダを敢えて1個伏せさせてもらうなどである)。しかし、認知資源の一時的な枯渇についてはもう少し原因を特定しておきたいところである。なぜならば、認知機能の低下で自分が間違え続けているだけなのに、相手のせいにしてイライラしたり怒ったりしてしまうようなトラブルが起きかねないからである。今まで起こった頻度、あるいは自覚できた頻度がそれほど多くないので難しいところもあるが、その日の認知機能の簡単なテストやサプリをもっと試してみてもいいかもしれない。
(1,483字、2024.05.31)
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