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最近の公正取引委員会がかなりピリついている件について
最近の公正取引委員会の動向を見ると、かなりピリついているように思います。
2024年11月にフリーランス法が施行されました。また、今後、下請法の抜本的な改正も予定されています。それに伴って、大手企業に対する取り締まりが強化されているように思えます。実際に日産自動車やトヨタ自動車といった大手自動車メーカーが公正取引委員会から勧告を受けたニュースがかなり話題になりました。
この傾向は当社が受託事業を展開しているコンテンツ制作業界にも波及しており、Vtuber事業者である株式会社カバーが同様の勧告を受けるなど、業界を問わず法令遵守の重要性が増しています。
昨年に公正取引委員会が発表した「令和6年12月 企業活動研究会報告書(案)」には以下のように述べられていました。
30 年もの長い間、経済のシステムといえるまでに組み込まれた価格や賃金が据え置かれる構造は、企業や労働者の行動を萎縮させ、我が国経済における新しい差別化された革新的商品や新しいサービスを生むイノベーションや技術革新の力を削ぐ一因となってきたのではないだろうか。
取引上で不可避に生じるコストを価格に転嫁するのではなく、労働者や外注先に転嫁して利益を確保する。そのようなデフレ型の商習慣が「失われた30年」と呼ばれる長期の経済停滞の一因になったと政府は考えているようです。
当社もいわゆる下請法上の「下請取引」に該当する案件をたくさん受注しています。また、当社は法人ではありますが、2025年2月現在のところフリーランス法における特定受託事業者に該当しています。
ありがたいことに日々様々なご依頼、ご相談を受けておりますが、その中で残念ながら下請法やフリーランス法に抵触する可能性のあるご依頼を受ける場合もございます。
そのような際、当社としては、まず対話を重視するアプローチを取っています。
これは当社の経験則ですが、コンプライアンス上の問題があるようなご依頼がなされる原因は、単純なコミュニケーション不足にあることがほとんどです。
お客様が新しい法制度への理解が不十分なケースや、契約内容について認識の齟齬があるケースなど、様々な状況が考えられます。
このような場合、すぐに法的な観点から考えるのではなく、まず当社の立場や考え方を丁寧に説明することを心がけています。当社の経験上、このアプローチで解決できないケースはほとんどありません。お客様の認識を理解しつつ、私たちの認識も共有することで、互いに納得できる解決策を見出すことができています。
もちろん、これは当社が下請法やフリーランス法の内容を熟知していることが前提となります。書籍を読んだり公取委が主催するセミナーに参加するなど法令や制度の理解に日々努めております。
法令を理解していることで、どのようなご依頼が問題となり得るのか、どのような対応が適切なのかを判断できるのです。ただし、その知識は対立のためではなく、建設的な対話を導くための基盤として活用しています。
この取り組みの結果、当社では法令に関連する深刻なトラブルは一度も発生していません。これは、法令遵守と対話を重視するアプローチが、持続可能なビジネス関係の構築に効果的であることを示しています。
結局のところ、ビジネスは人と人との関係の上に成り立っています。法令遵守は当然の前提としながらも、相互理解と信頼関係の構築こそが、真に持続可能なビジネスの鍵となるのだと当社は理解しています。
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