育児はおっぱい。
ムスメが1歳2ヶ月になった。月並みな表現だけれど、本当にあっという間だなあと思う。
改めてこの1年間の育児を振り返ると、おっぱいだった。
育児はおっぱい
そう、育児=おっぱい。もとい、育児=ほぼおっぱいだった。
妊娠中、私と夫は「育児に関しては、おっぱいをあげること以外、私たちは対等だよね。」と事あるごとに確認し合い、育児の負担を平等に分け合うつもりでいた。
しかしいざ生まれてみたら、おっぱいが育児に占める割合の多いこと多いこと。
私が完母で育てたというのが大きいのだが、私におっぱいがあり夫におっぱいがない以上、育児は対等なんかじゃ全然なかった。
もともと完母にこだわっていたわけではないのだけれど、ムスメが哺乳瓶を拒否したためにせっかく作っても飲まずに捨てることが多く、そのうち作る方が面倒になりおとなしくおっぱいだけをあげることにしたのだった。
月齢が上がるにつれ、哺乳瓶拒否はなくなったのだが、その頃には、いつ何時でもぺろんと服をめくればあげられるおっぱいの楽さに慣れてしまい、結局そのままおっぱいをあげ続け、そうしてそのまま1歳になった。
おっぱいってすごい
妊娠するまで知らなかったのだが、おっぱいをあげるとき、女性は愛情ホルモン(オキシトシン)というやつが分泌されているらしい。
はじめて聞いたときには「ふうん」って感じだった。だって、女性ホルモンがどうちゃらとかよく言うけれど、ホルモンって目に見えないもので、そのホルモンってやつが出るのを実感したこともないし、なんだかよく分からない。
と、思っていたのだけれど。これが驚いたことに、愛情ホルモンだけは、出る瞬間にちゃんと分かるのだった。
ムスメにおっぱいを吸われると、こう、おっぱいの奥の方が”ツン”となる。この感覚はまさに、
オキシトシーーーン!!!!!
なのだ。(これ母乳あげている人はみんなそうなんだよね?)
これが不思議で、触られたり吸われたりしているときだけではなく、ムスメのことを考えているだけでも同じ感覚(オキシトシーーーン!!!!!)になる。
おっぱいからの卒業
1歳も過ぎたし、そろそろ断乳かなと思うのだが、いざそうなると思っていたよりも寂しくて、なかなか決行できずにいる。
この1年間で授乳した回数は2,000回を優に超えている。これってちょっとすごいことだな、と思う。人生において、1年間にこれだけ同じことを繰り返す経験ってないんじゃないか。
これだけ繰り返していれば、そこには様々なドラマがあるわけで。
私の乳の出が良過ぎてムスメがゴポゴポと溺れていたこととか、授乳中に頬を何度もパンチされたこととか、授乳室が見つからなくてトイレのメイクスペースで授乳したこととか、1万円以上したTシャツが引っ張られて1日でテロテロになってしまったこととか、乳を吸いながら目を合わせてにこっと笑いかけてくれたこととかが、走馬灯のように頭の中を駆け巡る。
寂しい。
我ながら、妊娠中「早くお酒飲みたいから半年くらいで卒乳したい」などと言っていた人と同一人物とは思えない。これもきっと「オキシトシーーーン!!!!!」によるところが大きい気がする。
ムスメはもう私がおっぱいを所有していることを完全に認識しているので、最近では眠っている私の乳を勝手に吸っていることもある。
先日、朝寒くて目が覚めると、私のパジャマが胸の上まで捲り上げられ、そこにムスメが覆い被さって一心不乱に乳を吸っていた。
私が授乳クッションを手に取ると、おっぱいがもらえることが分かり大興奮するし(これをおっぱい発作と呼んでいる)、おっぱいをあげないとこの世の終わりかというくらい絶望的な泣き方をする。
でもそろそろ時間を気にせずお酒が飲みたいし、気兼ねなく薬も飲みたいし、ハイドロキノンだって塗りたい(シミ取りね)。
そのためにはおっぱいをやめねばならなぬのだが、大泣きするムスメを前にすると、つい「ああもう、いっか。」と、ぺろんと乳を出してしまう私なのであった。
おっぱいを持つものの特権
寝ても覚めてもおっぱいおっぱいだった1年と2ヶ月。生まれてすぐの頃は乳首が切れて激痛に耐えながらの授乳だったし、細切れ睡眠に精神が崩壊しそうになった朝や、長時間の授乳で凍えた夜もあった。
育児=おっぱいの日々は、しんどかったことも多々あるけれど、おっぱいを吸いながら嬉しそうにこちらを見上げるムスメの顔が見られるのは、おっぱいを持つものの特権だ。
こんなことを書いていたら、またおっぱいの奥がツンとなった。この「オキシトシーーーン!!!!!」もまた、夫にはない、私の特権なのだ。
おっぱいにアンパンマンの絵を描いて卒乳するなんて話をよく聞く一方で、子どものほうから「もうええわ」てな感じで突然おっぱいを欲しなくなることもあるらしい。私の友人は、1歳になる前に子どもの方から自然と離れていったと言う。
我が家はどうなるかな...今のところ、きっぱり断乳というのは難しそうなので、ムスメの気分に任せることになりそうだ。
こうなったら、ムスメが私のおっぱいから離れるその日まで、オキシトシーーーン!!!!!を嚙みしめようと思う。