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心お弁当【毎週ショートショートnote】

終業のベルが鳴る。
昼休みの始まりの合図だ。
今日も自作のお弁当を取り出すと、教室を出ていつもの場所に向かう。

二卵性双生児で私と全く似ていない姉は、相変わらず私の作ったお弁当を自分が作ったことにして、意中の彼にアピールしている。
姉は全く料理が出来ないのだ。

美術室と校庭の間にある穴場のベンチ。
今日のおかずは鶏のハツとレバーの野菜炒め。
お弁当を食べていると、突然声をかけられる。
振り向くと私の好きな彼だった。

いつもなら姉のアピールを受けているはず。
「担任に呼ばれてるって言ってきた」
疑問が顔に出ていた私に向かってそう言うと、隣に座る。
彼の手にはお弁当箱。
私の食べかけのお弁当を見ながら、手にしていたお弁当箱を開ける。

「レバーとハツだねぇ」
「……はい」
「お姉さんは砂肝だって言ってたよ」
「……」
「昨日は豚のハツを豚バラだって言ってた。作ってるの君の方でしょ?」
姉はすぐにボロを出したようだ。
全て想定通り。
ここからは私のターンだ。

(410文字)


こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】に参加しました。
テーマは「心お弁当」です。
以前、書いた「噛ませ犬ごはん」の続きにしてみました。

【毎週ショートショートnote】についてはこちら。

焼き鳥ではハツが好きです。
ハツは心臓ですね。
貴重な部位です。

双子二人から想いを寄せられている彼は、妹のお弁当に胃袋をつかまれました。
お肉の部位に詳しいから、家がお肉屋さんとかでしょうかね。
もしくは「ヘルプ商店街」でお肉屋さんを手伝っているのかもしれません。

妹は策士だったらいいな。
前日の夜ごはんのおかずを多めに作っておいて、お弁当にも入れていると姉には言っていて。
姉のお弁当は夜ごはんと同じ砂肝の野菜炒めだけど、自分と彼の物はレバーとハツにしていたり。
で、料理が出来ないしすることもない姉は気がつかない。

妹はハツを、ハートを、心を捧げているのです。

そんなことを考えながら書きました。

前回の「ブーメラン発言道」は旅行に行っていたりして書けなかったので、今回は参加できて良かったです。
読んで下さってありがとうございました。
羽根宮でした。

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羽根宮糸夜
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