アルプス笑点かい?【毎週ショートショートnote】
「え?なんだって??アルプス笑点かい?」
隣の部屋から、最近すっかり耳が遠くなってしまった祖母の声がする。
「あんた、またなんでそんな大変なことを。アルプスって言ったら、雪が多くて寒くてさあ、山登るのも一苦労だろうに。一体、誰が考えたんだい?何でそんなことするんだろうねえ?」
祖母は昔からおしゃべり好きで、人の話を聞かずにマシンガントークを繰り広げていた。
話し相手は小学3年生の弟で、横で母が聞いているようだ。
「落語家の人たちも、山登りは身体に堪えるだろうにねえ。それともヘリコプターかなんかで登るのかい?」
「山登りの話じゃないの。氷の話」
弟が祖母に言っているが、あまり聞こえていないようだ。
「氷はあるだろうねえ、寒いところだから」
「あるんじゃなくて、作りたいの」
会話がかみ合っていない。
「アルプスだったらすぐに氷は作れるよ」
「アルプスってどこ?僕はカルピスの氷を作りたいの」
……なるほど。
カルピスの氷点の話をしていたのか。
(410文字)
こんにちは。羽根宮です。
たらはかにさんの【毎週ショートショートnote】の裏お題に参加しました。
お題は「アルプス笑点かい?」でした。
表と裏、初めて両方参加しました。
いつも面白いお題で考えるのが楽しいです。
なんか無理矢理まとめた感じもありますが……良しとします。
読んで下さってありがとうございました。
羽根宮でした。
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