『行動することが生きること』(連載:宇野千代さん、お話聞かせてください。)
まえがきのようなもの
世の中はモノと情報で溢れています。
インターネットを覗き込めば、毎日驚くべき量の情報が流れてきます。
ネットフリックスや、Amazonプライムの映画は一生かけても、全部の作品はみることができないでしょう。
本屋さんには、「人生の成功方法」に関する本が毎週刊行されています。
これだけ沢山、「成功方法の本」があるのに、まだまだ同じような本が出版され続けるのはなぜでしょう?
「あれも欲しい、これも観たい、もっと観たい、もっともっと。」
そう思っているうちに、今日も終わり、明日も似たような日々を過ごす。
どんどん、自分で考えることが少なくなって、じぶんの体験に基づかない、言葉だらけで生きるようになってしまうのではないか?
そんなある種の危機感が自分にはあったりします。
先日古本屋さんで、宇野千代さんの『行動することが生きることである』という本を見つけました。
宇野千代さんの言葉を読めば読むほど、その言葉を大切にしたい。
そう思うようになりました。
宇野さんは、1897年に山口県で生まれ、『おはん』などの小説作品、雑誌刊行、着物のデザインなど、様々な活動を行ったアーティストです。
1996年に亡くなるまで、自由闊達な人生を歩まれ、99歳でその人生を終えられました。
私は、常々、体験がベースとなる言葉ほど、重要なモノだと考えています。
「巷にあふれる成功本」に自分がしっくりこないのは、多分のその人がやっていることが、感じられないからかもしれません。
宇野千代さんは、行動の人です。
99歳で亡くなるまで、働き、考え、料理し、恋愛し、結婚し、離婚し、1人で生き抜く気概を持って、人生を送ってきた宇野千代さん。
そんな宇野千代さんの言葉を、ファーストフードのように、すぐに食べてお腹いっぱいにして、その場の満足では終わらせたくない。
むしろ、何度も反芻して、きちんと理解したい。
すぐに読み終えるのではなく、何度も読み、何度も考えてみたい。
そして行動に結びつけたい。そう思いました。
なので、この連載では、宇野千代さんの言葉を引用しながら、その言葉について考えた事を、皆さんとシェアさせていただきたい、そう考えています。
あなたはこの人生を、何から何まで完全に、希望通りに暮らすことが出来る、と思っているのではないでしょうね?
あなたはこの人生を、何から何まで完全に、希望通りにして暮らすことが出来る、と思っているのではないでしょうね。ほんのちょっと気持ちを楽にして、この完全主義の形を、一桁だけ、ちょっと下げて見てはどうでしょうね。
すると、どうでしょう。あなたの能力の限界、とても歯が立たないと思っていたあなたの仕事も、あなたの自立出来るくらいのことは、どうにでもなるではありませんか。
何かがうまくいかない時に、なぜ私たちは怒ったり、悲しくなったり、嫌な気持ちになってしまうのでしょうか?
それは、期待と現実の間にギャップが生まれているからでしょう。
「失敗は成功の母」といったのは、大発明家エジソンでありますが、
「期待は失望の母」といったのは、『ロングバケーション』の大ヒットで有名な大滝詠一さんです。
宇野千代さんは、「期待値のコントロール」に対するヒントを書いています。
「完全主義の形を、一桁だけ、ちょっと下げて見ではどうでしょう」
これなら、誰でも今から簡単に始められます。
何か嫌なことがあったとしたら、これからは自分と会話してみたいものです。
完全主義になっていないのか、全てがうまくいく事を期待していないのか。
簡単なことほど難しいものではありますが、私は今日から早速実践したいと思います。
周りの人が自分の期待通りに動かないことなんて、実は当たり前のこと。
だから、自分で帰れる事を、一つずつ変えてゆこう。そう思うのです。