もう一人の、星の王子さま。
私は『星の王子さま』を初めて読んだのは、大学生の時だった。友達に勧められて、読むことにしたのを今でも覚えている。
最初は「むかしむかし、あるところに、星の王子さまがいました。」的な、子供騙しの話だと勘違いしていたので、読み始めてから読み終わるまで、衝撃の連続だった。
「大切なものは目に見えない」という言葉だけが先行している気もするが、実際はストーリーや、絆や友情を含めた、様々なメッセージが読み取れる奥の深い作品だ。
今でも時折読み返し、新たな発見がたくさんある。
昨年、友達からとある本を紹介してもらった。
それは、『アミ小さな宇宙人』という本だった。
さくらももこさんが、表紙絵を書いていて、見た瞬間に引き込まれていった。
話の内容は、少年ペドゥリートとアミと名乗る宇宙人の地球についてのディスカッションがメインとなっている。この点は、星の王子さまと出会った主人公の関係に似ている。
そんな中、この本を読んで心に残った言葉をいくつか紹介したいとおもう。
もし未来が前もって分かっていたとしたら、人生は全く意味を失ってしまうだろう。人はただ可能性を推し量ることしかできない。
嫌なことがあったりすると、未来がわかっていたらいいのに。そんなことを考えたりもする。
けれども、アミが語るように、なにもかもわかっていたら、人生には意味がなくなってしまうと思う。全てを見通すことができたら、その場限りの刹那的な生き方になり、結局何もしないことを正当化することになるからだ。
だからこそ、わからないことをたのしもう、たのしみたい。
そんなことをこの言葉を読みながら、考えた。
起こらなかった問題やこれからもけっして起こりもしない問題を心配して、頭を悩ませて生きていくのをやめて、もっと”いま”という時を楽しむようにしなくちゃ、と言っているんだよ。人生は短いんだ。もし現実に、なにかの問題に直面したときはそれに全力で当たって解決すればいいんだ。
このあいだ、電車に乗って驚いた。椅子に腰をかけて窓の上をふとみると、いままで紙の広告だったスペースが、スクリーンになっている。
そのスクリーンでは、コンサルティング会社の宣伝や、保険の宣伝、ローンの宣伝なんかをやっていた。わたしは結構がっかりした。
スマホを眺めて、綺麗な青空や、感動的な夕焼けを見ている人がいなかった時も、とても残念だった。
けれども、これはそれ以上に、がっくりした。電車の中でも、動画を見て、頭の中が休まらない感覚が続いたからだ。
考え抜くことはもちろん大切だ。ただそれと同じくらいに、考えないでいる時間も大切。
今の自分がそんな時間を本当にもてるのは、お風呂の時間だ。ただお湯に浸かってぼーっとしてみる。
そんな時間を大切に、今を感じる時を忘れないようにしていきたい。
友人からたまたま紹介してもらったこの本は、当たり前の毎日が、当たり前ではないことについて、改めて気づかしてくれた。