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アルケミストと出会って。

若い頃は、すべてがはっきりしていて、すべてが可能だ。
夢を見ることも、自分の人生に起こってほしいすべてのことにあこがれることも、恐れない。ところが、時がたつうちに、不思議な力が、自分の運命を実現することは不可能だと、彼らに思い込ませ始めるのだ」

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)

SNSを眺めていたら、『アルケミスト』という本が紹介されていた。
ポルトガルの『星の王子様』らしく、興味が湧いて、読んでみた。

小説って人生にとって、意味があるのか?
物理学や、化学や、経済学や、経営学
いわゆる実学と呼ばれているものは、世の中にすぐに役立つ、
必要とされている学問のような気がしていて、文学は意味がない
大学生の頃は、小説が好きだったが故に、こんなことを考えたりもしていた

けれども、大人になり、会社で働くようになり、
意味があると思われていた経済学や経営学に対して疑問を持つようになった
それぞれの人は、それぞれの物語をあゆんでいる訳であって、
それぞれの人生は、まるで文学を読んでいる、そんな感覚があった。

フィクションな物語は、作り語だという人がいる
確かにその通りだと思う。

ただそれは、
作り話が、本物の話よりも価値があるかどうかとは違うはなしだと思う

アルケミストは、いわゆる冒険小説。
羊飼の少年がある目的を目指して、旅をする。
読み始めると、ぐっと物語に引き込まれて、
頭の中に、鮮明なイメージが浮かんだ

冒頭に挙げた文章は、この物語の中で、特に印象に残った言葉。
大人になればなるほど、
人間は言い訳したり、人のせいにするのが上手くなる。

そして、小さい頃にやりたかったことは、何かの理由でできなかったという話にすり替えられてしまう話も多い。

アルケミストを読んで、フィクションとして描かれている物語は、
ノンフィクションとして書かれる物語と同じように、
心に響く言葉を届けてくれるものだと思った。
(でも、よくよく考えてみると、ノンフィクションだって、人の記憶の中で創作されたものなのだから、この世の作品は、フィションなのかもしれない。)

最後にもう一つ引用を。

「人は自分の運命を選ぶことができない、と言っているのだよ。
そして最後に、誰もが世界最大のうそを信じている、と言っている」
「世界最大のうそって何ですか?」と、すっかり驚いて、少年は聞いた。 「それはこうじゃ、人は人生のある時点で、自分に起こってくることをコントロールできなくなり、宿命によって人生を支配されてしまうということだ。それが世界最大のうそじゃよ」

アルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)

世界最大のうそに騙されないように、
可能性をいつも信じていたいものです。

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