mai.ueno

元国内通信社記者、出版社経て福祉やヘルスケア系メディアの編集。今は編集長。雑誌、地域フリーペーパーや育児メディアでの執筆も行ってます。オタク。https://twitter.com/marowriter

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マガジン

  • 日々の生活や仕事における徒然話

    とりとめもなく思ったことを文章にしています。働き方や組織論に興味がある。あとはエッセイ的なやつ。

  • コンテンツ伝達論

    企画すること・取材すること・書くこと・編集すること・マネージメント・仕事論に関することなど

最近の記事

言葉だらけも疲れちゃう

 イライラしているとき、疲れているとき、なんとなく調子が出ないとき。私は庭園沿いのその店でカフェオレとホットサンドを頼む。  私はそこのカフェオレが好き。  コーヒーと牛乳の分量が「五〇:五〇」であることを示す「オ・レ」。牛乳がコーヒーの余分な苦味と酸味を中和して、ホッとしながら飲むことのできるテイストが、私にとっておいしいと言えるカフェオレの条件でもある。  ホットサンドとカフェオレを頼むと会計は一〇五〇円。  ある日、いつものように「ご馳走様」と言ってお金を渡そう

    • 「使い古した色」の味

      本郷通り沿いに、古い喫茶店「東城」はある。「サイフォンで珈琲を淹れています」が目印。先客がいないときは、私が椅子に座ると同時にクラシックのBGMが流れ出す。  優しい雰囲気のご夫婦が営んでいて、流れる時間もゆっくりとしている。疲れがたまっているときやボーっとしたいとき、私はここに来てホットサンドとカフェオレを頼むのだ。  ブラックコーヒーの飲めない私は、カフェオレとチーズケーキの味でそのカフェのレベルが分かる(と、偉そうに思っている)。東城のカフェオレはとにかく「カフェオ

      • 生まれてないけどうちの子の気持ちを勝手に決めないでくれ保育園編

        日本にはまだまだ育児神話みたいなものが多く残っていて、久しぶりに出産前後のことを思い出す機会があったので、そんな神話の存在を感じた小話を残します。 我が家は諸事情あり生後2カ月くらいで保育園に入園させることになりました(ここの是非については別論なのでスルーします)。 保活をしていた人ならご存じかと思いますが、出産時期によっては妊娠中に保育園見学をすることになります。だいたい5か所くらい見学しました。我が家は両親揃って(もしくは寝込んでいる私に代わって夫が)見学していたので

        • 人と会話することが怖くなってしまった

          一時期、人と会話をすることが怖くなったことがあった。 「何言ってるか全然分からない」 「あなたと話しても通じないから無駄」 と、言われたことがきっかけだった。 そういう指摘を受けたことが初めてだったので、余計恐怖心を煽ったんだと思う。 そっか、私の話は何言ってるのかよく分からないものなのか……。 自分の思考に構音が追い付いていない自覚はあった。 どもる自分がいることも認識している。 回りくどい表現をするなあと、自分のことを眺めていた。 自分の頭の中を高速で飛

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        • 日々の生活や仕事における徒然話
          10本
        • コンテンツ伝達論
          5本

        記事

          「ふるさと」に対する愛憎

          昨今1歳の娘を寝かしつけるときに私が発動させるスキルは「歌う」です。効果抜群。 レパートリーのメインは「ゼノサーガep2のEDテーマ」「ムーンリバー」あとは「故郷(ふるさと)」あたりなのですが(振り幅)、 「故郷(ふるさと)」って改めていい音階ですね、と思います。そしてなんとなくアンビバレントな心理が感じられる歌詞。 ふるさとへの幻想(理想)は抱き続けていても、結局自分と自分をめぐる環境が変わりすぎていてもはや現実ではない「それ」に思いを馳せる心境。分かる。あるある。

          「ふるさと」に対する愛憎

          変わる人の話

          例えば「恋愛とか必要ないし。結婚もしないで仕事一筋の人生送りたい」というようなことを言っていた人が何年かすると 「今の彼氏・彼女と一緒にいると幸せ~」 と満面の笑みで話しかけてきたら、「恋人できたら変わるんか」といった視線が送られる場面がありますよね。(実際に遭遇したこともあります) 「子どもできたらアイツ変わったわ」「出世したら話しかけづらくなっちゃったね」 これらは全部私が吐き出してきた言葉でもあります。 (勝手に)マイナスな印象を添えて。 「恥ずかしい」から

          変わる人の話

          「許容できないこと」を許容したら、

          「理不尽なことが受け入れられるようになったら大人になったってことだよ」 かつて某通信社の地方支局にいたとき、上司に言われた。(某通信社には好きな上司が多すぎて困る) 24歳くらいのこと。 そのころは「そうだろうなー、いやこれは難しいことだな」という感想しかなかった。なんというか若気の至りという言葉では括れないほどに増長していたので。自己が肥大化してしすぎていたので。 触れるものみな傷つける勢いで走っていたし、「理不尽」や「不平等」や「偏見」や「犯罪」という言葉を本気で

          「許容できないこと」を許容したら、

          人の声

          東京都が外出自粛要請を呼び掛けた連休の前日。私は区役所に向かった。 保育園や持病の医療費に関することなど、いくつかあった手続きは30分くらいで終了。駅に急ぐ途中で、桜が目に入った。 それは公園に植えられた桜。 芝生が生い茂った都会のど真ん中にある公園では、子どもたちが追いかけっこをして興奮している声や、学生らしき女性たちが近づいてくるハトにびっくりして笑う声が聞こえた。 (都会のハトは積極的) いつもより人が少ない公園を眺めながら、そういえば最近こういう声を聞いてい

          「多様性」は身をえぐるほど鋭い言葉になることがある

          性別、人種、職業、居住地、国籍、障害の有無、言語の違い、見た目の違い…。 いろいろな種類や傾向のものがあること。変化に富むこと。これが最近よく聞く多様性(ダイバーシティ)の基本的な意味。 もちろん、それは文脈によって「女性進出」を指す際に使われる指標であったり、「障害の有無に関係なく権利を行使すること」「特性(考え方や長所・短所)の違い」を指すこともあったりする。 ようは、自分の存在するコミュニティや共同体において、自分が見聞きしたことがないもの、想像したことがないもの

          「多様性」は身をえぐるほど鋭い言葉になることがある

          名文が何なのかよく知らない。強く惹かれる文章に出会ったというだけ

          備忘録的な意味で、記しております。 先週末に近所を散歩していたところ、 駐車場の脇に、大量の生活雑貨とともに、「ご自由にお持ちください」と記載された段ボールが置いてありました。 引っ越しとか掃除とか、したのでしょうね。 そこに何十冊か雑誌も置いてあったのですが、 目についたのは『暮しの手帳』でした。 まさか、 散歩していて、暮しの手帳に出会うとは……。 「ここでこの雑誌に出会うということは、『(編集の)基礎に立ち返れ』っていうことなのかな……」と考えてしまうく

          名文が何なのかよく知らない。強く惹かれる文章に出会ったというだけ

          一人の書き手として思う、穴掘りの重要性(飾りつけはその後でいいと思うよ)

          せっかくLITALICOアドベントカレンダーというものに参加させてもらってnoteを使い始めたので、これまでの新聞記者経験やLITALICOで働いている間に思ったことなんかを、アウトプットの練習も兼ねてこっそり書いてみようかなと思っています。 ライターとかエディターとか、結局目指すものは同じ いきなり始めますコンテンツ制作について思うこと。 ライターさん、編集者さん、ディレクターさん。 ここで話すコンテンツっていうのは主に記事(文章)のほうなんですけど、まあコンテンツ

          一人の書き手として思う、穴掘りの重要性(飾りつけはその後でいいと思うよ)

          「伝わらないこと」こそ、糧にしろ

          LITALICOに入ってまだ2ヶ月程度しか経っていない新参者の分際で、アドベントカレンダーなんていう素敵な催しに参加させて頂いたことにドギマギしております。 こんにちは。編集者のウエノです。 とりあえず、日が浅い私は先輩方のように「これがわしの戦歴じゃ」と語れるものがそれほどないので、これまでの職歴を振り返りつつ、文章を紡ぐ人間としてぼんやり考えていることを書こうと思います。 あれ、新聞記者って案外「書けない」ね? 私は、新聞記者をしていました。けっこう長い年月、取材

          「伝わらないこと」こそ、糧にしろ