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作家陣による本気の戯れ「『罪と罰』を読まない」

以前noteでレビューを拝見してその存在を知った異色の本がこちら。

「『罪と罰』を読まない」- 著者: 岸本佐和子、吉田篤弘、三浦しをん、吉田浩美

かの有名なドストエフスキーの『罪と罰』と言えば、大体誰でもタイトルぐらいは聞いたことがあるでしょう。そのうち読んだことがある人は、どのぐらいいるんだろうか。私?無い!全くナイ!なんか分厚いし硬そうだしとりあえずいっかな〜、でいつもスルー。

こちらの文庫は、同じく『罪と罰』を全く読んだことのないという4名の作家さんたちが、何と読まずしてどんな物語かを推測しながらまとめ上げていく、というぶっ飛んだ謎企画本です。

しかしそこは作家さんたち。微かな手がかりはあるようです。何となくうろ覚えのキャラの名前。昔観た気がする超超ダイジェスト版のうろ覚え知識。

さらには、何部構成だからきっとこの辺でこうなるだろ、いや自分ならこう書くわ、という作家的発想力。そんな4名の知識と経験と推理力(妄想力?)を総動員し、議論の末にまとめ上げられたストーリーとはいかに…!?

いやぁ、大人が本気で遊ぶと仕事になる。即ち、作家が本気で遊ぶと本になる!!

noteのレビューにもあったけれど、三浦しをんさんのイマジネーションや言葉選びがもう、ダントツに面白い。好きだわぁ。

でも、昔影絵でざっとしたストーリーを観たという、唯一あらすじを知っているはずの吉田浩美さんがいらっしゃるんだから、都度俯瞰的な舵取りをされて万事OK…かと思いきや、後日談にご本人からとんでもない告白があったり。

作家さんたちの流石の考察力・洞察力の深さ鋭さに唸ると同時に、どこまでも尽きない妄想力で突っ走るところなんて、逆に鮮やかすぎてもう最高!

だがしかし。今回、私のnoteでは初めて、まだ読了していないのに紹介しています。なぜならこの本、皆さんの推理推測(創作)ストーリーだけで終わるのかと思ったら、後半は何と皆さまついに『罪と罰』を読まれてからの座談会が繰り広げられるとのこと。

そのためか、厳重に注意事項が述べられています。ここから先は、『罪と罰』本編を読むか、この後にあるあらすじ(正確)を読んでから進みなさい、と。

私は迷いました。作家の皆さんの名(迷?)推理の記憶が少しでも新しいうちに皆さんの講評や感想を知るのか。それとも、自分も知識まっさらな、皆さんと全く同条件で『罪と罰』の世界を一緒に知る体験を得るか。

いやだって長そうだしなぁ。うーん。。やっぱ先に皆さんの感想読んじゃおっかな。。

と、思ってたのに。気付いたらいま、私の文庫本カバーの中には、彼がいるのです。ドストエフスキーが。ラスコーニノフが。皆さん曰く、ドスコが。

というわけで、「本編読了→この本の後半読了」という流れを目指して!どんな体験になるか楽しみです。ふふ。

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