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『子どもが教育を選ぶ時代へ』を読んでさらに知る日本の教育ガラパゴス過渡期

特段教育熱心なタイプではなくとも、子どもにはその子に合った良質な教育環境をできるだけ整えてやりたいと思っている親は、世界にどのぐらいいるんだろうか。友人がたまたま読んでいた本がためになるということだったので、読んでみました。

『子どもが教育を選ぶ時代へ』- 著者:野本響子さん

マレーシアをベースに知る多様な教育環境

日本からの移住者が行く学校と言えば、現地の公立校、私立校、インター、日本人学校?ぐらいのぼんやりしたイメージでしたが、この本によるとマレーシアの教育環境の選択肢はとんでもなく多彩でした。中でも驚いたのが、ホームスクールや独学で学校に行かずに学ぶことを選択できる環境が、いちメジャーなコースとして、日本と比べ物にならないほどカジュアルに選択できる(恒久的でも一時的でも)ということ。

選択肢があまりに多いことに賛否両論もあるようですが、自分の頭で考えてどれが自分に向いているかをその時々でトライ&エラーをしながら選択していける環境が整っているのであることは、私は良いなと思いました。そしてこの本を読むことで、「理想の教育ってなんだろう?」「教育の目的ってなんだろう?」という根源的な問いについても、これから自分なりに考えてみようと思うきっかけになりました。

ちなみに著者は、教育の目的はこのように考えていらっしゃるようです。

社会人になってから、あらためてMBAを取ったり、大学院の博士課程に進む人もたくさんいて、このような大人たちを見ていると、自分が何の「苗」なのか、どうしたら能力を活かして社会に対応していけるのか、そういうことを考えながら生きるのが、人の一生なのかも知れない、という気がしてきます。

P.179

今後は、寿命も定年もどんどん延び、子どもが生きていくのは、おそらく「一生、何度も学び直さないとならない世界」です。

P.193

つまり、何度も学び直しが必要になる時代がそこまできているのです。そして「安定」は難しくなるということです。しかし、絶えず学習する力があれば、変化した状況に合わせて学ぶことができるはずです。(中略)今や誰でも何歳でも学べる時代なのです。

P.196

さて、ここでお分かりのとおり、先日紹介した異色の本とは見事に真逆のお話です笑。「うう、一生ずっと学び続けなくてはいけないのか…。ちょっと疲れたよ…。立ち止まっても後ろ向いても良いじゃない…?」というフェーズの人は、こちらをどうぞ。

そして、「誰でも何歳でも世界のどこからでも学べる!素晴らしい!やりたいやりたい!」という知的好奇心旺盛フェーズの人は、下記をどうぞ。備忘録代わりにも、本書で紹介されていたホームページをいくつか貼っておきます。

オンラインで学べるコンテンツのラインナップがすごい

大学の授業が無料で受けられる!?大規模オンライン公開講座(MOOCs: Massive Open Online Courses)がすごい。

eDX

MITとハーバード大学が創立し、世界の大学の授業や企業による講座。

MIT OpenCorseWare

MITの講義動画。

Coursera

スタンフォード大学の教授が設立し世界中の大学コースをいくつか提供。日本語でも使える。

本書では他にも、各種学校、ホームスクール、自学者が活用している本格的な授業形式のYouTubeチャンネルや、その他フリーの学習サイトもたくさん紹介あり。世界はいつの間にかこんなにどこでも高度な学びができる時代になっていたのか…!!と衝撃を受けました。ちょっと英語さえある程度何とかなれば、今や名門大学の授業も無料(ほぼ)で受けられてしまうんですね。驚き。

"誰にでも合う完全な教育なんて存在しない"

様々な教育事情がまとまって紹介された本書ですが、完全な教育なんて無いよ!とは著者の野本さんも強調しているところ。誰にでも向き不向きがあるし、やってみないとわからないこともたくさんある。

ただ、やってみたい時にはやってみれる、間違ったり合わないなと思った時には何度でもやり直せる、そんな環境がこれから日本でも世界でもより充実していったら良いなと思いました。(そして、のんびりたくさん寄り道することにも、ただただ生きていくことにも、もっと寛容な世の中になったらいいな。)


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