納豆とキムチで作る白味噌スープ
今夜の晩ごはんは、冷蔵庫の残り物整理を兼ねて久しぶりに汁物を仕込むことにした。昨夜「我が人生のバイブル」の一冊を読み返していて、とある一文になんとも食欲をそそられたのだ。
最近納豆とキムチで作る白味噌スープに凝っている。
鍋にこまかく切ったキムチと出汁を入れ、煮立ったら納豆と白味噌を入れて最後に豆乳も入れる。辛くしたい時には更に豆板醬を入れると、まるで担々麵のスープの様に濃厚で、しかも体が温まる。
安野モヨコさんの食エッセイ『くいいじ』。漫画家として数々の名作を生みだしておられる安野先生だけれど、私はこの方の文章も大好き。軽快な文章の中に光る洒脱なユーモアセンス、いかにも食欲……もとい、くいいじをそそられる料理の描写。そして要所要所で挿入される、あのうつくしい筆致で描かれた挿絵。この本はかれこれ10年以上の間、数えきれないほど読み返している。にも関わらず、読むたびに心ときめき腹の虫が鳴り、お酒もすすむすてきな一冊だ。なんと言っても題名が素晴らしい。
noteでのマガジンもいつも楽しく購読させていただいています。
ということで今夜の晩ごはん、納豆とキムチで作る白味噌スープ。白菜はちょっと太めの短冊切り、にんじんは薄めのいちょう切り、玉ねぎは薄切りにして、切る傍から鍋にぶっこんでいく。冷蔵庫に中途半端に余っていたごぼう(お正月に作ったたたきごぼう用の残骸)は、たわしで皮をこするようにして洗い、ごく薄めの斜め切りにして鍋に投入。少量だったしごぼうから出る旨みを楽しみたかったので、今回は水でのアク抜きは省略しました。しめじは石突きを取ってからバラバラにほぐしつつ鍋に投入。最後に市販の鶏団子とあさりの剥き身(いずれも冷凍品)を凍ったまま鍋に入れ、たっぷりの水を張って火にかける。
鍋が沸いてきたら細かく刻んだキムチを入れ、浮いてくるアクをていねいに除去する。至福のひとときである。鍋の中がきれいになったら料理酒と創味シャンタンで下味をつけて、あとは弱火で野菜がしんなりするまで煮込んでゆく。途中で味を見て、ちょっと辛さが足りなかったので弟(餃子が作れる方)のお手製食べるラー油も少し追加しました。
野菜が煮えたら白味噌を溶かし入れ、さらにざく切りにしたニラ、豆腐、添付のタレとよく混ぜ合わせた納豆、豆乳を投入(豆乳だけに)。ぐらぐら煮立たせないように注意しつつ、ニラに火が通ったら火を止めて丼にホイ。てっぺんに少し残しておいた納豆をトッピングしたらできあがり。
んんん……茶色いねえ。ニラがもう少し自己主張してくれると思ったのだけれど、チンゲン菜でも入れればよかったかしらん。
ご覧の通り見た目の彩りはイマイチになってしまったけれど、味は格別!キムチの酸味と創味シャンタンの塩っけが、白味噌と豆乳、そして納豆で絶妙に中和されていて、とてもまろやか。そしてほぼノンオイルとは思えないほどに濃厚~でとてもおいしい!ごぼうとにんじんは薄切りにしておいたので、それほど長く煮ていないにも関わらず、しっかり火が通っている。やわらかく煮えた白菜のとろりとした舌触りもいい感じだ。ごぼうと冷凍あさりから出た出汁もよく効いていて、豚肉とか入れてないのにがつんとディープ・インパクトな味わい。白味噌のおかげでほんのり甘いのだけれど、キムチと食べラーから出る辛みもしっかり生きているので、一口ごとに身体がどんどん暖まってゆくのを感じる……というか、汗かき大魔人の私はうっすら汗ばんでしまうほどだ。これ先週作れば良かったかなあ、あの雪の日に食べたら最高においしかったんではないの?口の中のピリピリをなだめてくれる豆腐のやさしい味もいいバランスだ。そしてこの濃厚スープの中にあってなお、抜群の存在感を誇る納豆のコクが最高すぎる。ちょっととろみがつくので、最後までスープが冷めにくいのもありがたかった。ごちそうさまでした。
野菜たっぷり具だくさんスープだし、豆腐も入ってるのでこれ一杯で十分満足できる食べごたえだけれど、白いごはんを脇に並べて、このスープにひたしながら食べたらおいしいだろうな。卵落としてみるのも良さそう。あと中華麺!安野先生もおっしゃる通り、担々麺みたいになって絶対おいしいと思う。
例によって大量にできあがってしまったので、後日色々とアレンジしていただこうと思います。にんにくやしょうがを入れたら、風邪ひいた時なんかにも良さそうだな。