キック力が強すぎる胎児だった息子の話

妊婦生活後半、落ち着くのかと思っていた。

私の期待に反して
お腹の中の息子が蹴るたびに

つわりのように吐きそうになっていた。

彼は無事に産まれた。

私の父が言った。「男の子なんだから、上の子の様に、細かい事を言わないで育てなさい」

私は、保育士である。
正しくは、その頃は保育士を辞めていたのだけど
発達の段階はわかっていたので

上の女の子には、周りから見たら、細かく言ってるように見えたのかもしれない。

彼女は、1歳でトイレトレーニングも完了しそうだった

ある日
細かく言わないように、を心がけて育てた息子と、娘と私は、散歩をしていた。

見ると
息子の口元がもぐもぐ動いている。

「え?」
気になって彼の口の中を見たら、
石ころが入っていた。

ひぇ〜!

急いで、私は口から取り出した。

それは、
一度だけではなかった。
その後も、そんな事があった。

細かい話ではない!

飲み込んだら命にかかわる。

やめるように言っても
またする。

もっと怖い事もあった。

ある日
「ジュージュー」と言いながら、口に入れようとしたのは、リングプルだった。

今から30年以上前、缶ジュースのリングプルは、外れたのだ。
たしかにジュース関係には違いないが、
入れたら口が切れそう。

またもや私は、

ひぇー!

となった。

危ないと言い聞かせてみるものの、しようとする。

まさか、彼の口をテープで止める訳にもいかない。
彼の口ばかりをチェックしながら歩く訳にもいかない。

娘と彼と、手を繋ぎながらで
毎回少しドキドキしながら散歩していた。

彼の拾いグセは、まだ続く。

彼はどちらかと言えば、よく食べる子どもだった。

3食プラスおやつも食べていたと
ここで言っておきたい。

そして私は、保育士経験者である。子どもへの目配りには多少、自信があった。


今でも忘れられないのは、あるイベントに連れて行った帰りだった。

おでんの竹輪を買ってもらい、
ご機嫌の彼だったが
落としてしまった。

それも運悪く泥のあるところに。

代わりを買っている時間はない。

汚いから、捨てようと言ってもガンとして聞き入れてはくれない。

仕方なく、
彼に「食べたら、お腹痛くなるからダメよ」と言って娘と一緒に後部座席のチャイルドシートに乗せた。

車が発進して、しばらく経った。

娘が叫んだ。

「お母さん、大変!桃ちゃんが、竹輪食べた〜」

もう取り上げるしかない。

車を停めて、彼の手から竹輪をもらって口を拭いた。

そして私は
あわてて小児科に電話をした。

「あの、うちの子が泥付き竹輪を少し食べてしまった様なのです。
どうしたら良いですか?」

医師は

「お母さん、様子を見て吐いたり、具合が悪くなったら来て下さい」と言った。

『緊急事態ではないのか?』
心の中で私は思った。

幸い、その後、息子は食欲も普段通りで元気だった。


そして小学校生活では学級閉鎖で休んだ以外に、病欠はなかった。

そしてキック力が強すぎる胎児は、小2からサッカーを始め、

市の選抜チームにも選ばれ、全国大会に行ったのである。

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