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エッセイ

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主に昔語りと創作。 つまらなそうだ? そうでもないぜ。
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#仕事について話そう

親方の憂鬱

親方の憂鬱

同じアトリエにいるOくんは大工である。
特に工務店などに勤めている訳ではなくて、自分で仕事を取ってきて、基本一人で請け負っている。

いわゆる一人親方という立場で、業界には結構こういう人も多い。

一人なので、一から家を建てるみたいな仕事はあまりしない。
いや、しないこともないが、基礎工事だのクレーンを使った棟上げの類は、人数が必要なのでやはり人に任せる。

では何をするのかといえば、メインは内装

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天啓

天啓

作っている作品がどうもうまくいかない。
イメージ通りに仕上がっているし、仕上がりのバランスも悪くないと思う。
しかし、なんというかあっさりとしすぎている気がするのだ。
なかなか打開する方向が見つからずに、しばらく悶々としていた。

ところで今日は月に2回の某水彩画教室の日。

教室で生徒さんが、みな一心不乱に描いておられる時であった。
せっかく集中している時間だから、今は余計なアドバイスなどしない

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万年青年の暗いお話

万年青年の暗いお話

教員をしていたので、大学出てからこっち、ずっと自分より若い人たちとコミュニケーションをとる環境にいた。

学校というところの宿命だが、こちらはずっと同じ立場にいるのに、相手の方はどんどん入れ替わる。
いきおい、生徒とは最初はちょっと先輩くらいの立ち位置から始まって、若いおじさんになり、父親になり、最後は孫といっても有り得なくはないくらいの年齢差になった。

ただ自分に子供がいなかったこともあって、

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結果オーライ

結果オーライ

今日はちょっと遠くまで出掛けて、子供向けのワークショップ。

駅からバスに乗る時に、段差につまずいて、すねを擦りむくという、波乱のスタートから、会場に着くと持っていくはずの道具を丸々忘れてしまっていたという、洒落にならない展開、おじさん少し動揺してしまいました。

まぁ、しかしそこは還暦過ぎの老人力を発揮して、「たいしたことないです」を装いつつ、自分が悪いのに、冷静に対処案を出すなどして乗り切った

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制作中

制作中

わたしはいちおう美術の先生などやって生計を立てていたのだが、通った美大では絵画、それも主に油絵以外はきちんと技法を学んだことがない。

それで今はこんなのとか

こんなのとか

こんなものとかを作っている

全部我流である。

これはあまり良いことではなくて、ずいぶん遠回りをしていると思うのだが、結局それが楽しいのだと最近は思っている。

食べていくこととか、表現だとか、社会的な意味合いとか、自己

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