見出し画像

「行動モデル」を理解し、機械的に習慣をコントロールする

〜どんな「コード」を書けば、より良く自分をプログラミングできるか?〜

習慣 超大全

 本の紹介です。みなさんに紹介したい本はたくさんありつつ「出し渋り」しておりました。が、今回は一足早く紹介です。「あらゆる方」を対象におすすめできる本です。

「行動デザイン」で習慣化を「仕組み化・自動化」できる

 研究に基づいた方法論で、かつ実際に現場で成果も出している手法「タイニー・ハビット」の理論と実践が書かれています。自分の行動習慣を「改造」する仕組みを作ることができるため、どんな人でもすぐに実践できます。

こんな「あなた」にオススメ

・人生100年時代、いつまでも健康でいるために良い習慣を身につけたい
・瞑想など、習慣化したいことがあるが、なかなか続かない
・Youtubeの見すぎなど、自分の「ついやってしまう」悪習をなおしたい

「他者の行動変容を起こす」ことが仕事に必要な人

 この本の考え方は、もちろん自分の「良い習慣を身につけ」、「望ましくない習慣を排除」するために非常に有用です。でも、この考え方を応用して、「他者に望ましい行動を起こさせる」ことも可能になります。だから、次に該当するような方々にもオススメです。

・妻(夫)の悪習を、お互いが気持ちよく生活するために治したい
・カウンセリングなどで、相手のモチベーションを上げるのに苦労している
・臨床現場で「患者の行動変容を起こせなくて困っている」医療従事者

 つまり、すべての方におすすめ、というわけです。

ちょっと高価で分厚いのが弱点ですが

 いきなり、amazonでポチるにはちょっと高価です。僕は本屋の立ち読みでこの本に出会いました。タイトルと、表紙デザインから受けた最初の印象はネガティブなものでした。しかも分厚い。

 「よくある、ビジネス書の焼きまし・著者の独断と偏見に満ちた内容なんじゃないかなぁ」。よくある、ノウハウ詰め込みタイプの本なんじゃないかな?と心配になりました。最近良く出会うんです。見開き2ページずつの「ノウハウ」が「こんなの全部実践してたら一年経っちゃうよ!」みたいな詰め込みタイプの本。

 ですが、本書は「かなり普通」でした。

タイトルや表紙から受ける「イマドキのビジネス書でしょ?」感は払拭された

 拍子抜けするほど、「普通の本」でした。ちょっと図が多くてわかりやすく工夫されていました。もちろん、いわゆる普通の本ですから、文章量は多めでしたが、案外スルスル読めました。何より、「赤色」になっている要点を拾い読みするだけで、サラッとエッセンスがつかめるようになっています。

 さらに、自分でちまちまと要約しながら読み進めなくても大丈夫なのが本書の良いところでした。巻末にまとめてある資料が非常にまとまっています。読了後はこの部分だけ永久保存にしても良いくらいです。

まず自分の行動を「デザイン」しながらさっと読む

 さらっと2,3日で読み切って理論・エッセンスを掴んで、適宜巻末資料を使って自分の行動習慣を改造する」という使い方がオススメです(ぼくは、ちょっとずつ読み進めながら実行していきました。それでも5日で読破できました)。

 さらに「まず自分の習慣を改善する」ことが目的であれば、本書の前半の3分の2を読むだけで十分です。というのも、後半は他者の行動変容に関わる部分で応用的内容だからです。後半部分は必要になってから読めば良い。すぐ売る気にはならないでしょう。

 著者はBJ・フォッグという行動科学者で、実際に本著で紹介しているメソッド(タイニー・ハビット)で多くの方々の習慣改善に成功しているようです。実際にナイキのホームページで紹介されたり、農林水産省のセミナーにも取り入れられています。僕はまったく知りませんでしたが。

本書のエッセンスは明確(たった一つの公式)

 この本がなぜ良いか?「エッセンスが明確だから」です。日常にスグ応用可能で、すぐ効果を実感できます。

 個人的にも、読んですぐ実践して成果を実感できる」タイプの本に出会ったのは久しぶりでした。

 下式を見てください。

スクリーンショット 2021-07-04 11.06.29

 「行動」を決めるのは、①M:モチベーション、②A:能力、③P:きっかけの3つの要素で決まるという、本書で登場する唯一の公式です。

 これだけだとあまりに抽象的なので、噛み砕いて説明しましょう。

 ある行動(たとえば、朝の瞑想)をするにあたり、①モチベーションが高ければ高いほど、その行動をする可能性は高まるでしょう。
 また、その行動をするのが②「簡単」であればあるほど、その行動をする可能性は高まるでしょう。
 そして、その行動を「しよう」と思う③きっかけがあれば、「自動的にその行動が起こる」ようになるでしょう。

要素(M A P)それぞれについて

まずはそれぞれの項目のまとめです。

① モチベーションを高める方法はあるが、モチベーションには頼るな。
② 習慣を身につけたければ、その習慣を「やりやすい」ように工夫しろ。
③ その習慣を「しよう」と思うきっかけを作れ。

それぞれについて、見ていきましょう。

① モチベーション

 なにか習慣を身につけようとしたとき、人はつい「モチベーション」に頼りがちです。しかしご存知の通り、人のモチベーションは「アテ」になりません。もちろん、モチベーションを高めるために、「ご褒美」なんかを使うことも多いでしょうが、「ご褒美」の効果も限定的です(むしろ本著では、「祝福」という行為を推奨しています。詳しくは本書をご参照ください)。

② 能力(やりやすさ)

 みなさんも経験がある通り、「ついやってしまいがち」な行動には、「ついやってしまえる」簡単さが潜んでいるのです。たとえば、ついお菓子を食べてしまう人は、家の中にお菓子をストックしていることが原因かもしれません。家の中にお菓子のストックがなければ、お菓子を食べるのに「買いに行く」という手間が増えます。それだけでもお菓子を食べてしまう危険性は減るでしょう。
 逆に、身につけたい習慣があるのなら、「その習慣を容易に実行できるような『環境にしてしまう』」のが最良の手段です。瞑想の習慣を身につけたければ、spotifyのお気に入りに瞑想用BGMを入れて、すぐに再生できるようにするというのも一つの作戦です。僕はそれをきっかけに朝の瞑想習慣が身につきました。悪い習慣はやりにくくする、良い習慣はやりやすくする。ただ、それだけのことだったりします。

③ きっかけ

 イフゼンプランニングという言葉を聞いたことがある方ならすぐ「ああ、あのことか」と理解していただけるかもしれません。
 あなたが、Bという行動を身に着けたいとします。それを、Aという行動とセットにしてしまう、というものです。
 実はすでにみなさんの中にこういう「セット行動」はいくつかあります。たとえば、もしあなたが食後に歯磨きをする習慣が身についているとします。それは、A「食事をし終える」という行動に、B「歯磨きを開始する」という動作が「紐付け」られているわけです。
 このように、ある習慣を身に着けたいと思ったら、「日常の中であなたがかならず普段からやっていること」とセットにしてしまうのがオススメです。
 僕のオススメの一つは、A「出勤のときにクルマに乗ってエンジンスイッチを押し」たら、B「スマホのaudibleで一冊、本の朗読を開始させる」というものです。これをすることで、出勤中にクルマの中でaudibleが捗るようになりました。これは完全に習慣化してしまいました。

「行動デザイン」によりみんなが幸せになれる

  上述の通り、分厚い割にスラスラ読めて、すぐ実践できるので、「とりあえず買って」実践してみましょう。

 自分の、そして他人の「行動をデザイン」することでみんなが幸せになれると確信できた一冊です。オススメです。


いいなと思ったら応援しよう!