日本ワイナリー巡り「ワインツーリズムやまなし」前編/グレイス、ロリアン、フジクレール【山梨県甲州市周辺】
早いもので、11月も下旬になろうとしています。いかがお過ごしですか。
さて、9月の岩手旅行では、繁忙期や悪天候時にワイナリーを訪問すると、満喫するのはなかなか難しいということを改めて再認識しました。
当然といえば当然なんですけどね。
そこで、11月17日(日)に開催されたワインツーリズムやまなしに行ってきました。
これまで、混雑しそうなワインイベントには参加しなかったのですが、エリア内の全36ワイナリーが「ウェルカム」なタイミングに訪れてみることにしました。
勝沼ぶどう郷駅へ
日曜の朝、特急に乗って勝沼ぶどう郷駅へ向かう。
天気は晴れ、秋の行楽日和である。
途中の渓谷などで、赤く色づく紅葉も見かけた。
本日参加するのはこちら↓
「ワインツーリズムやまなし2034・秋」は、開催17年目となるイベントで、今年は春にも開催されていた。
地区や対象者を変えて全4日間開催され、「笛吹市・甲府市・山梨市」「勝沼Under35」「塩山・牧丘」に続き、最終日が「勝沼」である。
勝沼ぶどう郷駅の改札口を出ると「ワインツーリズムにお越しの方は左へお進みください。」と声をかけられる。
駅横の公園に受付があり、番号を告げるとリストバンドを渡される。
これで、イベント用の専用バスに乗れるようだ。
参加料金は事前に振込済。
また、試飲用のグラスとホルダーの購入をすすめられる。
ホルダーはイベント名が入った布製のものと、印伝の革製のもの。
布製が500円、革製が2千円。
一瞬迷って、印伝の方にする。
印伝は山梨では有名な伝統工芸品で、鹿の革に漆で模様がつけてある。
成人した時に、母から「ハンコは大事にね。」と妹達とともに印伝の印鑑入れをプレゼントしてもらい、今でも使っている。
早速、バス乗り場へ向かう。
数人並んでいて、事前に案内のあった時間ではないが循環バスがやってきて、乗り込んでいく。つられて乗車した。
発車してしばらくすると、ルートと違うバス停がアナウンスされる。
どうもイベント用ではない市営バスに乗ってしまったようだ。
それでも、最初の目的地に似た名前のバス停で降りることができた。
料金は300円。
Googleマップで確認すると、目指していたワイナリーのすぐ近くで安堵した。
他の参加者も予定の場所に辿りつけるといいが。
①グレイスワイン 中央葡萄酒
今日の最初の目的地は、グレイスワインこと中央葡萄酒。
グレイスワインは、昨年100周年を迎えた老舗ワイナリー。
長年、甲州というブドウ品種のポテンシャルを信じ、ワインの品質を高め、海外にも甲州ワインをアピールしてきた、中心的なワイナリーである。
私は、2012年頃のセミナーで代表の三澤さんのお話を伺ってから、甲州ワインを注目してきた。
その後、三澤さんの娘である彩奈さんが醸造責任者になられてから、国際コンクールで数多く受賞。
現在はコンクールには出ず、それでもワイン専門誌などで高評価を得ており、昨年開催された広島サミットでも振る舞われたとのこと。
そのグレイスワインの木製の扉を抜け、階段を上がり、2階のショップ&テイスティングフロアへ。
外観同様に、静かで飾らない印象の屋内。
有料試飲は、やはり甲州の飲み比べセットを注文。
かつて、甲州ワインは香りも味も薄いと言われていた。
甲州は、江戸時代に将軍に献上されていた古くからのブドウ品種であり、現代において品種改良されたブドウと比べると糖度が上がりにくい。
よって、ワインは補糖されたりして、やや甘口に飲みやすく作られることが多かった。
それが、三澤彩奈さんが栽培や醸造に関わるようになってから、フランスや南半球など世界中の技術を取り入れて革新。
ブドウの糖度を高めたり香りを引き出す工夫によって、甲州の個性が感じられるドライなワインが作られるようになった。
まず、グレイス甲州から試飲。
和柑橘の香り、やや吟醸香、芯の通った酸味があり、透明感のあるキレイな印象ながら、その印象以上にボディがしっかりしている。
アルコール度12%。
山梨県内の複数の畑で収穫されたブドウで作られている。
次は、茅ヶ岳。
こちらもグレイス甲州に似た爽やかな印象だが、もう少し果実味がのっているように感じる。アルコール度12%。
3つ目は、菱山畑。
香りにはミネラル感があり、先の2つより飲み応えがある感じがするが、アルコール度は11.5%と高くない。
土壌は花崗岩だそうで、マグマから由来するであろうミネラル感が特徴的。
いずれも、出汁などに合わせやすい日本らしいワイン。
シャブリやソアヴェといった各国のライトなワインとは明らかに違う。
グレイス甲州は、先日おでんと合わせて美味しかった。
茅ヶ岳はもう少しパンチのある料理、菱山畑はもう少しコクのある料理とバランスが良さそう。
こうして、飲み比べてみると、産地による甲州種の違いが分かって面白い。
オンラインショップで注文しますねと、スタッフの方とお話しして出口へ向かう。
そろそろ、次のバスが来る時間。
今度は間違わないように、グレイスワインの目の前にあるワインツーリズム用のバス停へ。
ふと、横を見るとバラが咲いている。
ワイナリーには、よくバラが植えられている。
ブドウとバラは近い種類で、バラの方が先に不調になりやすい。よって、ブドウの樹の病気や様子を知るため、近くにバラを植える。
こういう何気なく植えられているバラも、全てはワインのためというグレイスワインらしいこだわりを感じる。
②ロリアンワイン 白百合醸造
ワインツーリズム用のバスに無事乗車できて、隣のバス停で降りる。
バス停の名前は、「白百合醸造」。
通称ロリアンワイン、1938年創業。
ワイナリーのすぐ前にブドウが植えられている。
プレートには「マスカット・ベーリーA」と書かれており、まだ実が多く残っていた。
ここに来るまで実が残っているブドウの樹は見かけなかったが、実っている様子が見られて嬉しい。
1階のショップに入ると、お客さん達が少しワイワイと話しながら試飲しており、フレンドリーな感じがする。
グレイスワインのやや静謐な雰囲気とは、また違った印象のワイナリー。
山梨らしい一升瓶のワインから、ハーフボトルの手軽なもの、スナック菓子まで幅広く取り扱っている。
期間限定550円と記載のある「白ワイン4種セット」を注文。
「本日は、こちらのロゼスパークリングもお出ししています。」と勧められて、マスカット・ベーリーAのロゼスパークリングも追加。
新酒はフレッシュな印象。
甲州2023は定番な感じ。
樽発酵は、シャルドネの方がやはりしっくりくる。
ロゼスパークリングが思ったよりいい印象だった。
ふと、ここで次のワイナリーに向かう時に利用したいと考えていた「AIタクシー」のコードを受付で入手してこなかったことに気づく。
ワイナリーのスタッフの方に聞いてみても、ワインツーリズムで「AIタクシー」が導入されていることも知らないとのことで、地元のタクシー会社を紹介される。
Instagramで事務局に問い合わせてみたが返事はない。
参加申し込みをした時から興味を持っていたのに、受付でコードを入手してこなかったことが悔まれる。
バスで移動することにして、次のワイナリーに向かうことにする。
③フジクレールワイナリー
白百合醸造からバスに乗り、昨年の春に訪れた丸藤ルバイヤートなどを通り過ぎ、「釈迦堂」で降りる。
そこはフジクレールワイナリー内。
かつてのフジッコワイナリーである。
当初、ここに寄る時間がないかもしれないと考えていたが、折角なので立ち寄ってみる。
フジクレールワイナリーは、勝沼のエリアでも高台にあり、見晴らしがいい。
フジクレールのワインはフジッコ時代から何種類か試したことがあった。
また、ここまで白ワインの試飲が多かったので、赤を試飲してみることに。
山葡萄とカベルネ・ソーヴィニヨンを交配した希少品種「志太乃輝」の赤ワインを試飲する。
ここで初めて、試飲用のグラスにワインを注ぐ。
ワインは濃い色調で、黒い果実の香り、ややハーブのような青い香りもするがイヤな感じはしない、山葡萄由来だろうか野生味があってそれがいい個性になっている。
そうこうしているうちに、一部の参加者がワイナリー見学に向かったようで静かになった。
私も当初予定していたワイナリーに向かおう。
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長くなったので、続きはまた次回に。
今回もお読みいただきありがとうございました🍷