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読書のお盆
お盆前、初めてコロナにかかってしまい、この10日間余り自宅にこもっていました。
当初、お盆は帰省を予定していましたが、キャンセル。
久しぶりにワイナリーにも寄ろうと思っていましたが、行けなくなってしまいました。
とはいえ、旅行中の体調悪化や、帰省先で高齢の祖母などに感染させてしまうといった最悪の事態は回避できましたので、結果オーライです。
騎士団長殺し
さて、外出できないお盆。
家にいる間にじっくり読むかなと、まだ読んでいない本の表紙を眺めます。
帰省する際に新幹線で読もうと買ってあった、村上春樹さんの「騎士団長殺し」です。
(ネタバレはナシですので、ご安心を。)
![](https://assets.st-note.com/img/1691977464114-Ixc2X4hNzd.jpg?width=1200)
村上春樹さんの著書は、高校生の頃から読んできました。
印象に残っているのは、「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「国境の南、太陽の西」「ねじまき鳥クロニクル」「1Q84」など。
このなかでは「国境の南、太陽の西」が1番ライトで読みやすいですが、印象に残る小説で、私にしては珍しく複数回読み返した覚えがあります。
1番ハードだったのは「ねじまき鳥クロニクル」、次に「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」。
確か大学の帰りに、「ねじまき鳥クロニクル」を読んでいて、気分が悪くなって電車を途中下車しました。
読むのに体力がいる本ですが、ノモンハンなど戦争について知るいいきっかけになりました。
「騎士団長殺し」は、タイトルがハード系な感じがして、時間があるときにしようと、読むのを先延ばしていました。
そんななか、あるきっかけ(←あとでご紹介)があって、本屋で文庫を購入してありました。
実際に「騎士団長殺し」を読んでみると、「海辺のカフカ」や「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」のような、村上春樹さんの長編小説のなかでは比較的マイルドなタイプでした。
かつての「井戸」に通じるような「穴」がでてきたり、「イデア」が顕れたり、音楽ネタも盛りだくさんで、村上さんのサービス精神が満載な小説でした。
主人公が絵を描くシーンも、もし村上さんが絵描きだったらこんな風に描くんだろうなという、リアリティが感じられます。
発熱しつつ、全4巻を4日程で読了。
その後、インタビュー集である「みみずくは黄昏に飛び立つ」を再読。
「騎士団長殺し」についても書かれていて、以前は飛ばし読みした内容が腑に落ちます。
「なるほど、こういうことを意識して書いてるんだな。」と感嘆することや、逆に「えーっ、これは意識してないのか。」と意外なことも。
僕はもう四十年近くいちおうプロとして小説を書いていますが、それで自分がこれまで何をやってきたかというと、文体を作ること。ほとんどそれだけです。とにかく文章を少しでも上手なものにすること、自分の文体をより強固なものにすること、おおむねそれしか考えてないです。ストーリーみたいなものは、そのたびに浮かんできて、それに合わせて書いていますが、そんなのは結局向こうからやって来るものであって、僕はそれをただレシーブしているだけです。でも文体は向こうから来てくれません。自分での手でこしらえなくちゃならない。そして日々進化させていかなくちゃいけない。
伝わる文章にすることに、徹底的にこだわる。
一方で、物語の意味は、読者にゆだねる。
村上さんは、自分の文体を作るため、その時々に様々なチャレンジをされてきたそうです。
名前のない主人公の「僕」による1人称から、3人称による表現へ。
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」ではグループでストーリーを紡ぐことをテーマにされたそうです。
更に、1997年~2009年のインタビューをまとめた「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」では、30代、40代、50代にそれぞれ何にチャレンジしたかについても語られています。
このように、「騎士団長殺し」を挟んで、インタビュー集2冊もつまみ読みしました。
私は何度も繰り返し読み込むようなハルキストとはいえませんが、それでも、文体を成長させてきた過程や、「集団的無意識を描こう」と一生懸命時間をかけて書いてる様が感じられて、本当に凄い作家だなと感じたお盆でした。
再び、小説を読むように
ところで、本ってどれくらい読まれますか。
特に小説のようなフィクションに限るといかがでしょうか。
私はここ数年テレワークが増えたため、通勤電車で本を読むような時間が減りました。
また、コロナ禍で「また感染者が増えてしまって、医療従事者の方々は大丈夫だろうか…。」と心配していると、落ち着いて小説が読めない時期がありました。
そんななか、先月フォローさせてもらったYukitaka Sawamatsuさんが、村上春樹「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」について、記事に書かれていました。
この記事がきっかけとなり、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を再読しようかとも思いましたが、まだ読んでいない「騎士団長殺し」を読んでみることに。
おかげで、お盆にじっくり読書することができました。
また、SawamatsuさんがフォローされていたRyéさんのマガジン「一度は行きたいあの場所」にも興味を持ち、フォローさせていただきました。
「一度は行きたいあの場所」は、様々な国の言語について詳しいRyeさんが、興味を持たれた世界中のスポットとその理由が紹介されています。
このマガジンを読み始めて気になった記事がこちら。
北欧ミステリー小説「特捜部Q」の映画に登場した、デンマークのコペンハーゲン警察本部の円形広場が美しいとのこと。
私は、北欧にとても興味があり、また、警察ものの小説も好きです。
小学生の頃は、学校の図書室にあった怪人二十面相や怪盗ルパンシリーズを読み、中高生では、赤川次郎の三毛猫ホームズシリーズやアガサ・クリスティー、大学生~社会人になってからは、スティーグ・ラーソンのミレニアムシリーズ、堂場瞬一の刑事・鳴沢了シリーズや今野敏の隠蔽捜査シリーズなどを読んできました。
という訳で、「特捜部Q」1巻と「棲月」隠蔽捜査シリーズの7巻を購入。
![](https://assets.st-note.com/img/1692522727947-2BSa3MoCOZ.jpg?width=1200)
▼今野敏の隠蔽捜査シリーズについては、ぜいぜいさんが9巻まで読まれたとのことでした。
こんな感じで、晴れて外出解禁になった後も、小説を読みたい気持ちが継続中です。
ちなみに、発症3日目くらいにいつもの石鹸の香りが弱く感じられて嗅覚障害かとあせりましたが、回復後にワインを飲んでみたらちゃんと香りがして安堵しました。
10日ぶりのワイン美味しかったです🍷
なお、9月に日本ワイナリー訪問を計画していますので、久しぶりにリポートできる予定です。
以上、お盆はワインが飲めず、小説を読んで過ごしていましたという報告でした。
今回もお読みいただきありがとうございました📚