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【大内家の野望 新生】 第19話:関東進軍戦 〜小田原城の戦い
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メールマガジン『ビジネス発想源 Special』にて約8年、400回にわたって連載し、AmazonのKindleストアで多く電子書籍化もされている、歴史から経営やマーケティングのヒントを学ぶビジネスコンテンツ『歴史発想源』。
今年7月に新発売となったコーエーテクモゲームスの歴史シミュレーションゲーム『信長の野望 新生』を使って、その第1章「大内二代篇」の状況から天下統一を目指す番外篇「大内家の野望 新生」を連載しています。
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▼第19話:関東進軍戦 〜小田原城の戦い
■北条家の支配する関東平野を侵食せよ
駿河国(静岡県)の今川家を滅ぼし、ついに最大兵力26万の東国最大の戦国大名・北条氏康が当主の北条家との全面戦争を始めた、西国の覇者・大内義尊の大内家。関東全域に覇を広げる北条家の発祥の地とも言える韮山城(静岡県伊豆の国市)をなんとか降伏開城させたものの……
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北条家の本城である小田原城(神奈川県小田原市)を陥落させるわけにはいかないと、北条軍は領内各地の城から続々と援軍を送ってくる。房総半島あたりの城からもどんどん兵がやってくる。こちらも駿河国や遠江国(静岡県)から東海道を通って渋滞するぐらいにどんどん兵を送り込む。しかも戦闘集団は我が若殿・大内義尊の本軍だ。さっそく、戦争が始まる。
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北条軍の先鋒軍と、田方(静岡県函南町)で激突だ。相手は北条五色備で白備を担当する笠原康勝だ。しかしこちらが有利だ。北条家は広い領内のあちこちから援軍を送っているため、それぞれ軍勢の到着にタイムラグがある。しかしこちらは渋滞するほどに軍勢を送り込んだのは、それが一塊の軍勢になるからだ。おかげで敵の先鋒軍は4部隊で14510なのに対し、こちらは12部隊で54278も兵力が圧倒している。
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相手もそこそこの大軍だが、こちらはその4倍近くの大軍勢である。部隊数も多いから戦略の幅も広い。次々に先鋒部隊を挟撃して壊滅状態に陥らせる。
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さすがに4部隊だけでは何もできない。北条軍は壊滅状態に陥った部隊もあり敗北。「田方の戦い」は大内軍の圧倒的勝利に終わった。東国最強の北条ぐんの先鋒隊を破ったということで、その名の轟く威風が発生。
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威風が発生したことでいくつかの郡が寝返ってきて、同盟者である長尾家の長尾景虎(後の上杉謙信)もびっくりしている。
勝利した大内義尊軍はさらに小田原城へと向かうが、大住郡(神奈川県厚木市)で次なる北条軍、富永直勝隊と遭遇。今度は北条五色備の青備担当が相手か。
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北条軍は次から次に援軍が連なっている形だから、そのタイムラグで軍勢がそれぞれ独立している。大内軍はまたまた一丸となっているため、兵力差も3倍近くあるぞ。先ほどの威風も効いたようだ。
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部隊数が多いので、左右への展開がいろいろとでき、部隊数の少ない相手を挟撃できるチャンスも多い。兵力差もあるため、挟撃では圧倒的な強さの差となる。総大将の富永直勝隊を壊滅させてやる。
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北条家の猛者たちは強くてこちらも損害がそこそこ大きいが、総大将の富永直勝を完全に壊滅させての大勝利だ。小田原城まであと少しだぞ。
さて、立て続けに小田原城前での戦いに集中していたので、北関東の戦線のことを忘れてしまっていた。新田金山城(群馬県太田市)に信濃国(長野県)から攻め込ませていた軍勢はどうなったか……。
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新田金山城にまで到達し、占領地もかなり北関東に食い込んでいるようだが
……。あっ、よく見ると北の沼田城(群馬県沼田市)を北条軍4300が攻めているぞ。ここは長尾景虎軍が攻め取ってくれたばかりだったから、大して兵がいない。迂闊だった。
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すぐに援軍を差し向けようと思ったが、時すでに遅し。沼田城は北条軍に取り返されてしまった。北条領は広い。全ての戦線を注意深く見ておかなければならないことを思い知らされた。
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小田原城も強攻中なのだが、さすが天下の堅城だけあってなかなか落ちない。その間にも続々と関東各地の諸城から兵が集まってくる。こちらも総力戦だ。この消耗戦を乗り切ったほうが勝つ。
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北の伊達家にも再び那須川城(福島県那須川市)を攻めてもらう。これで少しは、小田原戦線や北関東戦線に兵を回す余裕もなくなるのではないだろうか。
そして小田原城下では、またまた合戦が発生。
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北条家の名将である大道寺政繁が小田原城から出撃してきた。とうとうそこまでの重臣が自ら出てくるか。しかしその兵数はわずか2000。こちらは約23倍の46144だ。北条軍は援軍も限界に来ているようだぞ。
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「足柄下の戦い」が開戦したものの、さすがに23倍の兵力差ではどうにもならない。大道寺政繁の部隊はほぼ壊滅状態に陥り、大内軍が大勝した。残るは当主の北条氏康ぐらいだろう。まだまだ援軍が送り込まれるから、なんとしてでも小田原城を早めに落としたい。
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ここで三好長慶の訃報が。城主に任命した者が寿命で死ぬと、このように死去シーンが出てくる。『信長の野望』シリーズは寿命との戦いだ。うかうかしているとどんどん武将が寿命を全うしてしまう。かつて最大のライバルであった三好長慶も死ぬとは、悠長にしていられない。
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■北関東戦線と小田原戦線の連動作戦
北条家に奪われた北関東の沼田城。新田金山城を攻めていた兵を回して、城主の氏家卜全が降伏したことで再び奪い返した。こうなったら、新田金山城だけではなくその周辺の城も同時攻略していく方針でいこう。
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新田金山城は新田義貞公の築城以来の堅城でなかなか落ちないが、破壊工作や一揆扇動などの策略でも攻めていく。そして宇喜多直家が鉢形城(埼玉県寄居町)を守る板部岡江雪斎を引き抜いたりと、周辺の城にも謀略を仕掛けていく。
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すると、かの智将・真田昌幸が「大内家に降伏いたします」といきなり言ってきた。え、どこにいたの。……那須川城か! 伊達家が攻めてくれていた那須川城の城主が真田昌幸だったのだ。まさか降伏してくるとはっ。何はともあれ、表裏比興の将とまで言われた謀将の真田昌幸が味方についてくれるのは嬉しい。歓迎するぞ。
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伊達家が那須川城を落としてくれたことで、大内家にいきなり栃木県の飛び地ができてしまった。これ、また攻め落とされてしまうのがいつものパターンだ。でもこの飛地は何かと役立ちそうなので死守に賭けたい。その隣りの三春城(福島県三春町)から攻められそうだから、ついでに三春城も伊達家に攻めてもらおう。
一方、小田原城の鉄壁の守備と、次から次に押し寄せる後方の北条軍の援軍で、小田原城攻めは難航している。大内義尊の本軍も兵を消耗したために一旦帰還し、吉川元春ら後続の軍勢が攻めるも跳ね返されてしまう。
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しかし、小田原城と北関東との間でも着々と攻略は前進していた。滝山城(東京都八王子市)だ。南北の波状攻撃に比べると印象が薄いが、実は甲斐国(山梨県)から少しずつ滝山城周辺に兵を向けていて、多摩地方や神奈川県西北部も浸食していっているのだ。北条家が南北に援軍を集中させている中で、こっそりと中央部を食っていった。
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そしてその甲斐あって、滝山城をこっそりと奪取することができた。東京都の西部にあたる滝山城を落とした意味は実は大きい。小田原城を西から攻めるのに箱根越えでどうしても渋滞してしまっていたが、滝山城があれば東からのルートにアプローチできるからだ。
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小田原城に次から次に東の諸城の兵が集まるのだから、その東からの援軍ルートを遮断すればいい。滝山城から小机城(神奈川県横浜市)の所領へと攻め込む。ここが獲れれば、東からの陸路は封鎖できるはずだ。
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ただ、北条軍は陸路だけではなくて海路を使ってもやってくる。房総半島の兵が回ってくるのは、東京湾を横断して三浦半島に上陸してくるからだ。ちょうど伊豆半島から相模湾を横断して三浦半島に行ける海路が使えるので、韮山城から三浦半島にある三崎城(神奈川県三浦市)にも兵を向ける。ここを押さえるのはかなり重要だぞ。
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長尾家の助けもあって、今川義元隊がついに新田金山城を攻め落とした。かなり時間がかかったが、良しとしよう。ここが北関東の諸城を落としていく重要拠点となるだろう。死守していかなければ。
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新田金山城の周辺に点在する城へ兵を向けるが、ピンク色の矢印が下へ伸びたのを見ると分かるように、北条軍にとっては北関東の諸城の危機よりも、本城である小田原城の危機のほうが大問題のようだ。小机城や三崎城にまで攻略の手が及んだと知って、どんどん南方に援兵している。北関東を一気に制圧するなら今だぞ。
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群馬一帯の北条軍は新田金山城を取り戻そうと北へ動いたので、忍城(埼玉県行田市)を先に攻め取ってやった。この辺りは城が集中していて、それが北条家の強さの一因でもあるのだが、こちらとしてもすぐに攻める城を切り替えて揺さぶりをかけやすいので、うまく戦略をかけやすい。
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6城ぐらいにぐるりと囲まれた位置にある忍城。北条軍も慌てて諸城から援軍を繰り出すが、それで諸城の兵数もちぐはぐになってきている。忍城には1万近くの大軍を置いておいて、手薄な城を見つけたら他の部隊が一気に攻めていくことにする。
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難航していた小田原城攻めだが、東側の小机城・三崎城も攻め始めたことで援軍がそちらに散ってしまい、小田原城を助ける援兵はどんどん間に合わなくなっている。そこに松永久秀が闇討ちの謀略を仕掛けて、当主・北条氏康にクリーンヒット。城主の負傷で小田原城の防御力も急速に低下した。
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そんな時に、再び若殿の大内義尊が兵を整えて小田原城へと攻め上がってきた。北条氏康自ら出撃してきて「足柄下の戦い」の開戦だ。全国No.1とNo.2の戦国大名の直接対決。
しかし北条氏康の兵は610しかいないぞ。小田原城はもう虫の息のようだ。容赦なく叩き潰させてもらおう。
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兵力差は22倍。北条氏康の610の軍勢は一人残らず討死して壊滅。北条氏康はたった一人で落ち延びることになった。「足柄下の戦い」、大内軍の大勝利だ!
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城主の北条氏康隊が全滅、戻った北条氏康は負傷中、さらには東からの援軍も期待できず、小田原城は耐久力を失って、ついに大内軍が小田原城を制圧。北条が誇る天下の堅城が落ちたのだ。ついにここまで来たか。
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小田原城がようやく落とせたことで、ついに相模国へのルートが開けた。すでに武蔵国から小机城、海路から三崎城を攻めているが、その中間の玉縄城(神奈川県鎌倉市)を北条氏康が新たな本拠としたようだ。このまま一気に、南関東も制圧していこう!
(第20話につづく)
【武将名鑑】(19)真田昌幸(さなだ まさゆき)
信濃国の地方領主。武田信玄・武田勝頼に仕えたが、武田氏滅亡後は織田家・徳川家・北条家・上杉家の間で巧みに自立を果たして独立勢力となる。上田城にて徳川家康の軍勢を2度撃退し、「表裏比興の者」と呼ばれる知略を発揮する。真田信之・真田信繁(真田幸村)らの父。
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マーケティング発想源 〜経営と商売のヒント〜
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