セロリ
人生、人それぞれ。育ってきた環境も、境遇も、位置付けも十人十色。一人として、同じような環境ではないし、そもそも同じ環境だったとしても、個々人はそれぞれ違う。自分と全く同じ人はいないと言っても過言ではありません。
好きなものも違えば、嫌いなものも違う。それも人それぞれ。
それがたとえ、同じ環境にいたとしてもです。同じ環境にいたからと言っても、人によっては「それ、好き」あるいは「それ、嫌い」ということもあります。
それこそ「個性」というのではないでしょうか。
最近は「個性」を大事にとか、個人を尊重するとかいう風潮も割と生まれてきたように思いますけど、社会全体ではどうでしょうか?流れは理解するけれども、まだまだ「尊重する」ところまではたどり着けているかどうか、疑問です。
社会で渦巻いている偏見だったり、差別だったり、その辺がまだ蔑ろにされているから無くならないのかもしれません。
家庭の中の些細なことかもしれませんが、それが尾を惹くということもあります。わたしも幼少期は苦労しました。
今回はそんなエピソードを少し。
象徴的なのがセロリです。皆さんはセロリ、知ってますよね?これです。
はい。セロリ。野菜です。名前はよく聞くけど、実際どんなもの?って考えると、実はよくわからない食べ物だったりします。
調べてみると、独特の強い臭いはあるけど、栄養価も高く、食物繊維も豊富な、優秀な野菜のようです。
皆さんはセロリ、結構食べますか?
わたしはというと、実は殆ど食べたことがありませんでした。というか、セロリを食すのを避けていたというのが正しいです。どうしてそうなのか?というと、こんな感じ。
幼少期に初めて食べさせられたんです。生食で。で、そのセロリの独特の香りが強烈で、気持ち悪くて、食べられなかったんですよね。
でもですね。
それでも、親は「食べさせることを、やめなかった」むしろ、食べないことを「非難」され、まぁ俗にいう「叱られた」というやつです。
それ以来、セロリが苦手になりました。
「何がそんなに嫌なのか?」という親の問いもありましたけど、とにかくあの独特の香りと味が気持ち悪くて、泣くほど嫌でした。
ええもう、トラウマと言ってもいいくらいですね。
それ以来、食卓に何度か上がったこともありましたけど(生で!)、我が家では人気のない献立だったので、次第に食卓から消えていきました。
そして、セロリが苦手なまま、数十年が経ちました。ある時、セロリを含んだ料理を食べたことがあったんですが、そのときに「ん?セロリ?そこまで、悪くないんじゃないか」と思ったんです。
確かスープか何かだったと思います。
煮込むことであの独特の香りが抑えられ、また、他の味と絡み合って、味がそれほど主張していなかったのかもしれません。加齢によって、味覚が鈍ってきていたのかもしれませんけどねw
とにかくそのときに「あれ、自分はセロリが苦手だったはずだったんだが・・・」と疑問に思いました。
その体験があったからこそ「セロリ」を克服できたのかもしれません。今では、セロリ、特段「嫌い」とも思いません。幼少期のわたしが、これを見たら、逃げていたと思いますw
創意工夫があれば、苦手だったものも、数年、数十年経てば、苦手じゃなくなることもあるんですよね。
わたしにとって「セロリ」は必要のないモノだったかもしれません。あるきっかけで、必要とまではいかないものの「必要のないモノ」認定からは脱却することになりました。
苦手なもの、食べられないものも、人によっては色々あると思います。だけど、今、この時は「苦手」かもしれないけど、何年後、何十年後には、逆に好きになっていることだって、あるかもしれません。
だから、今「嫌いである」ということがわかっているのに、「無理矢理強要する・される」ことが無い世の中であればいいなぁ、って思います。
年号も、昭和→平成→令和と変わっているのだから。やり方も変わっていても、問題ないはずです。
昔の自分に、こう伝えたい「セロリ、今、食わなくてもいいんだぜ」
それでは、また。