社会課題にたずさわる「東北プロボノプロジェクト2020」
2000年、株式会社ウィル・シードは当時の学校教育に対する問題意識から「子ども向けの体感型教育」を行う事業をスタートさせました。現在では企業向けに対象を拡げ、教育内容も「体感型」から「グローバル人材」にまで幅を広げています。
ただ、やみくもに事業を拡げてきたわけではありません。そこには「社会課題と関わっていく」というウィル・シードが創業時から大事にしてきたもう一つの側面がありました。今回はその一つの事例ともいえる「東北プロボノプロジェクト2020」を紹介します。
1.プロボノとは
そもそも「プロボノ」という言葉を初めて聞いた方もいるかもしれません。プロボノはラテン語の「pro bono publico」が語源です。意味は「公益のために」。つまり、ボランティア活動の一種を指しています。一般的なボランティア活動と少し異なるのは、仕事などで培った専門的なスキル・経験等を無償で提供するという点です。
2.「東北プロボノプロジェクト2020」とは
「東北プロボノプロジェクト2020」は東北経済産業局が主催の東日本大震災の復興支援の枠組みのひとつで、プロボノ活動を通じて東北の事業者をサポートするプロジェクトです。
具体的には、個人が東北で様々な社会課題に向き合って活動している事業者のプロジェクトに参画します。チームとして一定期間、プロジェクトを支援すると同時に、参加者自身はこの経験を通じて、成長の機会やキャリアを考える機会としていく取り組みです。
ここまで読んで、東北地方に馴染みのない方であれば、「なぜ東北?」と思ったかもしれません。実は東北地方は世界でも先進的と捉えられるものがあります。2011年の東日本大震災以降、東北は「他人・地域への貢献」を動機に起業する人が増えた地域でもあります。そして、日本国内でも人口減少ペースが速い地域であり、世界的に見ても高齢化が非常に進んでいる地域となりました。つまり、社会問題に対して関心が高い「人」が多く、実際に「社会課題」が進んでいる地域なのです。
<参考文献> 『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか』
↓↓過去の開催の様子↓↓
今回の「東北プロボノプロジェクト2020」は新型コロナウイルスの影響で、オンラインの開催となりました。その結果、東北はもちろん、関東、関西、南は九州まで多様な参加者に恵まれた開催となります。参加者は5名の社会課題に向き合う事業者と一緒に行うマッチング・イベントに参加します。参加者は各事業者の事業プレゼンテーションを聞き、共感できる事業者のプロジェクトに参加し、様々なスキルを持つ参加者と一緒にプロジェクトを組むこととなります。
3.ウィル・シードと「東北プロボノプロジェクト2020」
ウィル・シードは東北で復興支援に取り組むIMPACT Foundation Japanと提携しています。過去5年ほど、企業向けに東北の社会起業家と伴走する、リーダー研修を実施してきました。社会課題の最前線で活動する東北の社会起業家(※)と触れ合うことは、企業のビジネスパーソンにとっても非常に多くの学びと気づきが得られます。新型コロナウイルスの世界的流行に代表されるように、先が読めない変化の激しい時代に突入しました。前例のない課題が多い今の時代には、官民学など幅広い関係者を巻き込んで課題解決やイノベーション創出を行える人材が必要とされます。そのような人材を輩出するために、「東北」という地域と関わることの意味は非常に大きいと考えます。
(※) 社会起業家:社会や地域の課題解決を目的に起業し、ビジネス的手法でアプローチする人たち
ウィル・シードとしても、能力のあるビジネスパーソンの力を社会に還元し、かつビジネスパーソンたちのキャリアをさらに輝かせるお手伝いをしたいという想いから、個人も広く参加できる「東北プロボノプロジェクト2020」に参画することとなりました。
↓↓オンラインで登壇中するウィル・シード講師↓↓
4.「東北プロボノプロジェクト2020」スタート
本年は初のフルオンラインでの企画・開催となりましたが、問題意識の高い方々から想定を超えるお申し込みをいただき、申込者多数で9月から「東北プロボノプロジェクト2020」はスタートしました。参加者は5名の事業者のプレゼンを聞いて、希望するプロジェクトに参画します。年齢、職種、業種などバックグラウンドの異なる多様な人材が各プロジェクトでチームを組んで活動を開始しています。
各プロジェクトの進行にあわせて、参加者がプロボノ活動自体を立ち止まってふりかえる機会を「振り返り会」として設けており、その企画・進行をウィル・シードが担っています。先日10月に1回目を実施しましたが、プロジェクトを超えた「東北プロボノ2期生」としての一体感や、相互の学び合いも生まれてきています。
3月上旬の最終報告会に向けて、各プロジェクトでは事業者の課題にあわせた活動を行っていきます。多様な参加者がどのようにコラボレーションし、事業者に貢献していくのか。その動向については、引き続きこちらでご紹介していきたいと思います。
■一般社団法人IMPACT Foundation Japan(INTILAQ)について
IMPACT Foundation Japanは、次世代グローバルリーダーの育成を目指し、2010年に設立された法人です。これまでにTEDxTokyoやH-Labのような革新的なプログラムの企画、運営を行ってまいりました。カタールフレンド基金より、起業家支援プロジェクト「INTILAQ(インティラック)」の支援を受け、東北地方の沿岸部にある被災3県(宮城、岩手、福島)にて活動中です。「Catalyze the venture ecosystem」、つまり新しいビジネスやサービスが生まれ育って行くエコシステムを創造することを目標に掲げ、その「場」となる「INTILAQ東北イノベーションセンター」の運営と、「コンテンツ」となる様々なイベント、ワークショップ、メンタリングサービスなどの企画・提供を行なっています。
⇒詳細HP:https://intilaq.jp/