冬を楽しみな季節に変えてくれた猫との思い出
大学を卒業し、一人暮らしを始めたタイミングで猫を飼いました。
残念ながら3年前に亡くなりましたが、冬になると今でもその猫のことを思い出します。
寒がりで、年老いてからは毎年冬になるとこたつの中に入りっぱなし。脱水にならないか、気を揉んだものでした。
そのため、今でもこたつに足を入れる時には猫を蹴ってしまわないか、足先に神経を集中させて用心しながらそっと入れるクセが抜けずにいます。
私自身もかなりの寒がりで、冬は苦手な季節でした。
でも、その猫を飼い始めてからは楽しみな季節に一変したのです。
普段は、外出から帰宅すると玄関で律儀に出迎えてくれる猫ですが、冬に限ってはそれがなくなります。
それどころか、声を掛けても出てこない。
完全に姿が見えなくなるのです。
初めて「それ」に遭遇した時には、本当に驚いたものでした。仕事から疲れて帰宅した私は、寒い部屋の中で猫の姿が見えずに途方に暮れ、名前を呼びながら探し回りました。大して広い部屋でもないのに、なかなか見つかりません。
最後になんとはなしに布団をめくると…仰向けですっかり熟睡しきった猫が姿を現しました。布団をめくっても眠りこけていて、微動だにしません。
それまでは一度もそんな状態で眠ることはなかったのに、お布団の下では安心しきって、仰向けで眠っているのです。
お布団は、猫の体温でほかほか。
猫特有の草のような、懐かしいにおいもして、猫好きにはたまらない、なんとも贅沢な空間が出来上がっているのでした。
疲れと心配で張り詰めていた気は、猫の無防備で幸せそうな様子やお布団でほかほかに温まった猫の体温などで一気にほどけ、お腹に顔をうずめて心から安堵したのを覚えています。
それからというもの、冬の間は帰宅後の「布団めくり」が私にとってこの上ないお楽しみになりました。
帰宅すると、まずまっすぐにお布団に向かい、掛け布団をそーっとめくる。
すると幸せそうにお布団の中で仰向けに寝ている猫に出会える幸せ。
たまに足音で気づくのか、玄関まで出てきていることもあって、そんな時には大いにがっかりします。そのため、できる限りそーっと足を忍ばせ、鍵を開ける音も最小限にして帰宅したものでした。
その猫が亡くなった季節も、また冬のこと。
大病して、余命僅かと宣告されたのにそこから10年以上生きてくれた猫。冬の寒い夜は、温めておいてくれたお布団で、気持ちもほかほかにして眠りにつかせてくれた猫のことを思い出してしまい、noteにまとめたくなりました。
今日のような寒い夜は、そんな猫との思い出で気持ちをほっこりあたたかくしてから眠りにつこうと思います。