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してもらったこと、して返したこと。人間関係を吟味することで、生き方が変わる。内観療法の活用とは?
●内観療法とは、どのような療法なのでしょうか?
内観療法は、吉本伊信が発案した人間関係を深く吟味していく心理療法です。現実の出来事にスポットを当てることで、感情による思い込みでなく人間関係を客観的に見ていく事が可能になります。
●具体的にはどのようなことを行うのでしょう?
内観療法には、一週間ほど専門の施設などに泊まり込んで行う集中内観と、日常生活の中で行う日常内観の2種類があります。集中内観では、母、父、祖父母、友人などのように関係性の深い人から順番に関係性を振り返っていきます。振り返る内容としては大きく分けて次の三つあります。①してもらったこと。②して返したこと。➂迷惑をかけたこと。これらを自分自身で振り返り支援者からフィードバックを受けます。日常内観では、日々の人間関係の中で、同様に三つの出来事を振り返ります。
●内観療法から得られる効果とは?
人間関係で苦しんでいる人は、幼少期に養育者から否定的な態度を取られたり、守ってもらえなかったり、虐待を受けたりして人間に対する不信感、恐怖感、嫌悪感などを植え付けられてしまった方が多く見られます。また、いじめを受けるなどの体験も同様の感情を植え付けられてしまいます。これらはアダルトチルドレンや複雑性PTSD、愛着の問題となって成長してからも人間関係の構築に弊害をもたらして苦しむ要因となっています。
内観療法では、改めて過去の人間関係をより客観的に見ることで、実は親も苦しみを抱えながら一生懸命に子供と向き合っていたなどと理解を深めることで心の傷の癒しを得ることが可能になります。そして、自分が人間関係で苦しんできた原因に気づくことで、新しい生き方の方向が見えてくるのです。
●カウンセリングルームで行う内観療法とは?
通常、カウンセリングルームでは物理的に集中内観を行う事はまずありません。しかし、内観療法での振り返りは人間関係で苦しんでいる方にとって効果の見込まれるところでもあるので、日常内観として、また認知行動療法(CBT)や交流分析(TA)の一環として取り入れることで相互作用的な効果が見込まれます。
また、アダルトチルドレンの方のように幼少期の経験から自己肯定感が育っていない方のケースでは、三番目に挙げた「めいわくをかけた事」に焦点を当ててしまうと、より自尊感情が傷ついてしまう事もあり得るので「してもらったこと、して返したこと」に絞って見ていく事もあります。
過去を振り返ることは痛みを伴う作業でもありますが、カウンセラーが丁寧にサポートすることで負荷の軽減を図ることが可能になります。そして痛みの後には、新しい生き方への希望が待っているのです。
内観療法やカウンセリングを受けてみたいと感じた方は、お気軽にウェッピーカウンセリングルーム日野・東京までお問合わせいただけましたら幸いです。あなたの心が癒されますように。