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大河ドラマ「光る君へ」最終回 感想つれづれ。文学の力、文学への信頼を中心に据えた稀有な大河でした。一年間、とても楽しかった。

昨日の「光る君へ」最終回

 いやまあいろいろおもろかったが、最後、「千夜一夜物語」みたいに「また明日」で命を一日一日と伸ばす、なんか「物語の力」を最後まで中心に据えて、道長とまひろの最後の日々を描く。あんな死に方、羨ましいなあ、道長、いいなあ。というのがいちばん思ったことでした。

 吉高由里子さんは「100カメ」など色んなNHK関連番組で「左利きなのに、右手で書く練習をして、筆文字全部書いた」情報がたくさん出ていたが、

 昨日のロバート秋山の藤原実資、道長と行成の死を日記「小右記」に書いているシーンがあった。

 あれを見て「ロバート秋山はどうなのかな」と妻が聞いてきたので、ツイッターを見て回ったところ

「令和の土星人」さん、というアカウントのツイート

「健康オタクの実資は道長の容態に強い関心を示し、その病状を日記に詳細に記した。それらの記述は糖尿病患者のまとまった闘病記録としては日本最古のものであり、日本医学史上重要な資料となっている。また行成の急逝についても「一言も発せずに頓死した」と記している。」

「笙子」さん、というかたがそれを引用しつつツイートしている。

「このシーン、ロバート秋山が本当に書いてる(他は書家の先生が筆跡を似せて書いてる)んだそうです」

「おそらく最後二行がロバート秋山自筆、そこ以外は書家の根本先生の字。凄いなー😳😳」

だそうだ。

今回の大河「なんて書いてあるのかな」と「その漢詩や和歌の現代語訳、知りたい」というシーンがたくさんあったよね。

「国史学者」より「国文学者」が大喜びした、(考証でも大活躍した)おそらく初めての大河ドラマでした。

 古文漢文は知っていると楽しいよ。知らなくても死にはしないけれど。そしてそういう文学は人間一人一人の短い生涯の時間を超えて千年の時を生き続けることがある。だから、人生の全てを物を書くことに捧げる人がいるのである。

道長と行成を偲んで酒を飲む公任と斉信のシーン。

町田啓太 藤原公任の歌は

「見し人の 亡くなりいくを 聞くままに いとど深山ぞ さびしかりける」

はんにゃ金田 藤原斉信の歌は

「消え残る 頭の雪を 払ひつつ さびしき山を 思いやるかな」

 これ、なんか分かりやすすぎる、現代語ぽ過ぎるので、大石静さん作なのだろうか。と思ったら「栄花物語」(赤染衛門)の「つるのはやし」に記されているのだそうだ。これは川村裕子先生という国文学者のツイート情報。

 という国文学的いろんな話題もあるが、ラストはちょいと違う雰囲気だったよね。

 大石静さんインタビューで、初めから決めていたというラストシーンのラストのセリフ「道長さま、嵐が来るわ」。

 私の友人の尾崎さんも指摘していたが、映画「ターミネーター」ラストシーンの「There's a strom coming」からなんだろうな。スケールの大きな未来の激動を予感させておしまい。

 歴史学(事実の探究)よりも、虚実の未確定な狭間の、その豊かさを信じる文学を描いた大河だったのだよな。ほんとに楽しかった。

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