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ブックレビュー:悪童日記
万人にとって正しく生きることは難しい。
誘惑は多く、規範も多く、公共の福祉は網羅するところが多く息苦しい。
その限られたスペースを縫って自由に生きるということは、自己実現ではなく自己防衛の方が的を得ている。
生きるということは地味で、ドラマで切り取るような大局だけでいえば美しい生きざまであっても、生活の一つ一つは決して正しいだけではない。人間の生きざまには多くの矛盾と揺らぎが内包されている。
時に正しく生きることはできなくとも、
自分の思うとおりに生きることはそう難しいものではない。
それは奔放ということではなく、信条に則った人間性を保って生きるということだろう。
誰かのためではなく、自分のためである。誰かを虐げても危害を加えたとしても自分の信条と人間性を守って生きるというのは気高いものだ。
倫理観やルールは一時のもので、時代と境遇によって大きく異なってきた。
ただ、人間の本質だけは変わらない。
呼吸をして食欲と性欲と排泄欲を満たし、寝て起きる。天使と悪魔がまじりあった世界の中で愛し合って傷つけあう。
平和な世界であっても、戦争のさなかであっても、それは同じ。