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人の失敗は蜜の味

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間違っていた黒い車

間違っていた黒い車

友人のご主人は車が大好きだそうだ。
きっといい車に乗ってらっしゃるのだろう。

「何に乗ってはるの?」

友人に聞いた。

「黒い車。」

なんやねん、黒い車て。
子どもか!

「車種はなに?」

「知らん。なんか黒い車。」

色しか興味ないんかい!

そんな友人は時々ご主人の運転する車でスーパーに買い出しに出かける。

ある日。

ご主人は駐車場の車の中で待ってらして、友人だけスーパーで買い物を

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なにがなにやら

なにがなにやら

絵画にはとんと疎い人間である。

絵画の前でウーンなんて腕を組んで眺めている人を見ると

ほんまにわかってんのぉ?

と、わき腹をつんつんしたくなるような人間である。

なのに一人前に

モネ展かぁ、それは見とかんとなぁ

などと呟いてしまう。

いつも一緒に遊んでいる友人たちはそれを知っているので美術館に行く時は私に声をかけてこない。

が、今回私が会いたい光線を出したらしく、不憫に思ってか声を

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車のバッテリーが上がって私の血圧も上がった

車のバッテリーが上がって私の血圧も上がった

平日、夜6時前頃の話。

仕事を終えて食事の支度の前にちょっとくつろいでいたら。

ダンナから着信。

「車が動けへん」

また面倒事を持ち込む男。

「多分キーの電池切れやと思う。電池切れでもエンジンスタートできる方法があったはず。調べて!」

スマホ持ってるやろがい。

でも車の故障だったらダンナのせいではないし気の毒なので調べて連絡。

いろいろ試すがやはりダメらしい。

クレカのロードサー

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あの銅鑼を鳴らすのはわたし

あの銅鑼を鳴らすのはわたし

数年前の話。

友人のお父様が亡くなられた。
御年100歳であられた。

友人は一人娘だったので喪主をつとめた。

今時の流れに沿って家族葬。
友人の配偶者や成人した子どもたちと共に儀式をこなした。

お坊さんのお経の途中、式場の係りの方が友人のそばに来てささやいた。

「喪主様どうぞ。」

そして前方にいざなった。

友人はコクリと頷いて進み出た。

そして。

おもむろにバチを手に取って。

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父は笑いながら骨となった…と思う

17年前、私の父のお葬式で爆笑した話、聞く?

父のお葬式は家族葬でとりおこなわれた。
とてもアットホームないい式場で、通夜の後、私は父と同じ部屋で兄と布団を並べて寝た。
兄と布団を並べて寝るなんて子供の頃以来だなぁなんて思いながらウトウトしていたらお葬式の朝になっていた。

式場から焼き場まで車で10分程の距離。

お葬式が滞りなく終わって、親族はみな用意されたマイクロバスに乗り込んだ。

私は

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毎日がハロウィンな楽しい我が家、などと言ってる場合ではなかった

毎日がハロウィンな楽しい我が家、などと言ってる場合ではなかった

①出すのは赤ん坊ではなくてそっちだから

ワタシが妊娠中に「産まれる~」って叫んだ話、聞く?

臨月の頃、つまりもうお腹がパンパンに大きくなっていた頃。

ワタシ達夫婦は大阪の田舎の古いハイツで暮らしてたんだよね。

ほら、お金ないじゃない?若いから。

家賃の安いところを求めてズルズルと行きついた先が田舎だったのよ、
割と都会で育ったのに。

田舎だからトンボやカエルやカナブン、カブト虫、でっか

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ダンナの自転車のハンドルがタオルの上に置かれるオブジェになった訳

ダンナの自転車のハンドルがタオルの上に置かれるオブジェになった訳

①迷子の仔猫ちゃんじゃなくて脳味噌キャパオーバーのワタシ

2ヶ月ほど前の話なんですが。

休日の朝起きたらスマホに地元警察から何度も電話が入っていた話、聞く?

いやぁ、珍しくよく寝たなぁって朝だったんです。

10時頃かな。

歳を重ねると長時間寝る事が難しくなる。

若い頃なんて起きたら昼だったなんて事しょっちゅうあったのに。

寝るって元気な証拠なんですってね。

そんなわけで、その日のワ

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